「45÷12=3 あまり9」の”=”は何?
■ 小4で割り算の筆算を習います.例えば「45÷12 =3 あまり9」①といった具合です.同時に「45=12×3+9」②という式も示されます.①と②の”=”は同じ記号(イコール)ですが,大きな違いがあります.
45÷12=3 あまり 9 ← 率直に言って発展しない形式です
■ 「45÷9=3あまり9」①で使用されている=は,定義の意味です.つまり,45÷12 という演算の答えを”3あまり9と書くのですよ”という約束(定義)を示しています.
■ 「45=12×3+9」②で使用されている=は,左右両辺の値が等しい(等値)という結果を示しており,左右両辺をa倍する,0でない数bで割る,あるいは,両辺から同じ数を加える等々の変形が可能です.つまり,方程式の解法で使用されるときの=と同じ機能を持っているわけです.
■ 確かに,①の形は情緒的であり,子供には受け入れられやすいことはわかります.ただそこまでです.
■ 筆算から何を引き出すのか? それは,筆算作業を通して,等しい値(不変量)を発見させることです.つまり.45が12×3+9 と一致するという気付き・確認に価値があります.
■ 何と何が等しいのかの発見,あるいは大小の判別,これらの視点は,算数・数学を学ぶ際の基本の基になりますね.
45=12×3+9 → 中高大とこんな形で登場していきます
■ まずは一般形ですが,整数だけでなく,整式も対象となります.大学入試問題を紹介します.小4筆算と同じ構造であることが一目瞭然ですね.
■ 式:A=BQ+R でポイントは,R<B であり”等号が付かない”ということです.もし,付いたとすれば,割算が続行できていたからです(RがBより小さいから割算がそこで終了した!).
→この事実は軽く受け止められがちですが,”等号が付かない”ことでユークリッドの互除法などの証明がなされ,代数学の基礎を支える性質の一つとなっています.
■ 今回は,割算の筆算を例に挙げましたが,子供がそんなに遠くない将来,出会うであろう数学の内容に大いに関心を持っていきましょう.
<追記>
■ 次回テーマは,「量感覚アップ」です(予定).台風など身近な例から量感を豊かにしましょう.
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