宇宙人と会える?
未確認飛行物体(UFO)ついては昔からいろいろと「語られて」きました.つい最近(‘21.5),米国防総省の元担当者の発言があり,また,近々同省から報告があるということで,注目が集まっています.
超高度な知識と技術を備えた宇宙人が実在するのか,否かという論は「手に負えません」ので,それはさて置いて,別視点からチョロリと話題を提供します.
キラキラ星に宇宙人はいない!
星は大別して,次の二つ.
① 恒星:自ら光を発し,そのエネルギー源は核融合反応である.
② 惑星:恒星の周囲を公転する星のこと.太陽(恒星)系では,水星,金星,地球,火星,土星など.太陽の光を反射するが,自らは光を発しない.
子「宇宙人っているのかな~」,父「空を見てご覧.星がいっぱい光っているね.どっかの星に宇宙人がいるかも知れないね」
親のメンツをつぶすようで申し訳ないですが,父の説明は間違っています.
身近な恒星である太陽ですが,その表面温度は約6000°です.このように,キラキラ輝く恒星では,生命体も一瞬で燃え尽きる,というか,そもそも超高温下で生命が誕生するワケがありません.
もし仮に知性ある地球外生命体(=宇宙人)が実在するならば,彼らの誕生地は,キラキラ輝く恒星ではなく,恒星を周回している地球のような惑星となります.
キラキラ星はどれくらい遠いのか
地球から見て太陽の次に近い恒星は,ケンタウルス座α星で約4.3光年先にあります(太陽の質量の1.1倍,明るさは1.5倍).
軽く4.3光年と言いましたが,1光年は,秒速30万kmの光が1年間に進む距離です.
1光年≓ 60×60×24×365×30万km≓9兆4600億km
なお,太陽までは8分程度ですから,1光年の”遠さ”には呆れ果てます.
時速300kmの新幹線で行くと,360万年かかる距離です.
ケンタウルス座α星 ⇒ 4.3×360万年=1548万年,つまり,新幹線利用なら1500万年以上かかる距離です.人類の祖先:猿人は約500万年前ころの登場と言いますから,そのはるか前の時代から,新幹線に乗り続けてもまだ到着しない,とんでもなく遠くにケンタウルス座は存在します.
これでも地球に一番近い恒星です.東京・札幌間は820kmです.東京を起点として北に進むとします.ケンタウルス座を札幌に置くと,火星はどの辺りになるでしょう.⇒ ナント46m程度で,電信柱1本分くらいですね.月ですか? ⇒ 約 7.7cm です.
このように,水金地火木土などの惑星が太陽の周りを動いていますが,それらは”東京駅付近”にあり,次の星(キラキラ恒星)は札幌になるのです!
この視点からすれば,宇宙を天球(ドーム)と見立てて,すべての星を球面に貼り付け,地球との距離を一定に見せる手法は,距離感覚育成の観点から言いますと,はなはだよろしくないですね.ミスリードに近いです.
織り姫星までは25光年,北極星までは430光年です.上は上があります.アンドロメダ銀河は,ナント約250万光年の距離にあり,1兆個の恒星が集まっています.
全宇宙に散らばっている無数の恒星,それらに関わる惑星には,高度な知性を持った地球外生命体=宇宙人がいるかも知れません.
彼らが電波を発信して,幸運にも地球人がそれをキャッチしたとします.もし,北極星の惑星であれば,それは430年前の情報で,地球からの返信も同じ時間がかかり,往復860年かけてやり取りをする・・・・人類であれば10世代以上にわたって伝え続ける必要があります.
出会いには「タイミング」が必須
いずれかの惑星に高度な知性と技術を備えた地球外生命体(以下,X)が実在し,何らかの手段で地球を訪問したと仮定します.
地球の誕生は,約46億年前です.その大部分は天地創造の時代で,生命の誕生はかなり後半の数億年前あたり.紀元前2億年前後は恐竜が闊歩していましたし,その他,いろいろなプロセスを経て今日に至っています.
さて,仮に,Xが古墳時代にある集落を訪問したとします.古代人はXを見てどう対応したでしょう.せいぜい妙な動物が来て警戒する程度で,Xを”地球外生命体=宇宙人”とは認知できないのです.無理はありませんね.
平安時代や江戸時代,あるいは,1789年フランス革命が起こる前後の時代であっても,この”認知不可”は等しく起こったでしょう.
電波天文学が確立して,高度な通信技術を持つ文明がない限り,Xはヒトビトに認知されず,記録も残らないのです.Xにとって,訪問タイミングが決定的なんですね.
46億年誕生の地球の場合,その好タイミングの期間はどれくらいでしょうか.私見ですが,長く見積もって直近の150年間くらいかと.
つまり,150/4600000000≓0.000003% となります.
星間の往復に要する時間が途方もなく大きく,かつ,仮にXが幸運にも地球にたどり着いても,welcomeと歓迎してくれるY(地球人)が存在する確率も極めて小さいワケです.
以上のことから,マコトに面白くない結論ですが,宇宙人との出会いは,ほぼありえません(ただし,信号のキャッチとなると,話は別).
超論理は困る
この種のテーマで困るというか,会話が途切れてしまう場合があります.
たとえば,「6000°を超えても耐えうる生命体がいる」「瞬間移動で,星間を飛ぶ」「人間は始めから人間だったのだ」等々の主張(超論理!失礼)がまことしやかに語られるときです.
ただ,次の解説は,どことなくサイエンスの香りがあって以前から印象に残っています.
2次元の世界に住むヒトがいます.平面上は動きますが,高さという認知はできません.
したがって,3次元に住むヒトが上から指で頭をコツンと突っついても,平面の住人は高さのある指自体を認識できませんから,キョロキョロと周囲を見渡すに違いない,という説明です.
4次元世界に住むヒトが,混乱極めている3次元のワタシどもにいたずらしたくなる気持ちがよくわかります.
<補足>
■ 次回テーマは,「あみだくじでゴールが重ならないワケ」(予定)です.たかが「あみだくじ」ですが,奥行きは結構あります.
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