共通テスト 数ⅠA「山の仰角」問題 ⇒ 生活数理!

過日終了した’04大学入学共通テストの数ⅠA「山の仰角」問題がチョット注目されました.ワケは,①日常生活数理問題であること,②地上配備迎撃システム「イージス・アショア」の新聞記事との関わり にあります.

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■ 重要な縮尺条件が付いており,水平方向:1/100000, 垂直方向:1/25000  のとき,三角比表をもとに,実際の角度(近似値)を10択から求めさせる内容となっています.

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■ 確かに三角比(tanθ)を用いてはいますが,解答の本体は,比例(算数)と相似比(中3)の知識です. ⇒ 中学生,場合によっては小学生でも解ける(少なくとも挑戦できる)問だったということです.

生活数理に目を向けさせる意図?

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■国でも生活数理(実生活の場面に近い課題設定)の重要性を指摘していますが,「学校文化」はなかなか頑固です.

 一例を挙げると,中高数学で扱う角のほとんどは,30°,45°とそれらの倍数角(有名角と言います)です.

三角関数は連続関数の代表なのに,有名角数値のみの不連続・点関数みたいな印象を与えていますね.

■ その最たる例が,sin30°,cos45°,sin90°,cos120°,tan135° などの値をあの手この手で棒暗記させている光景です.子どもたちが気の毒に感じます.

⇒ 数学が「火縄くすぶるフランス革命1789」と同列か

⇒ 「拡大再生産」ということばがあります.数学のリーダー自身がかつて受けた習い術(すべ)を,再現しているのでしょう.

量としての角

■ 「山の仰角」問題について,地元大学のS教授は

この間,国は,生活数理の重要性を強調してきたにもかかわらず,学校の授業はほとんど改善されていない.業を煮やした国は,学校文化の実態を踏まえて『授業カイゼンには,共通テスト出題が効果的だろう』と,現実的な判断したのではないか.私は,国のメッセージを強く感じた

と述べています.まったく同感です.

■ 角≓有名角 としてきた受験生にとって,測量の図が与えられ,かつ,16°という角を見て「おののいた」ことと察します.

■ 「イージス・アショア」に関して,国が示した報告書(後に撤回)では,ある候補地(本命でない)が不適と判断した根拠に,近くにある山の仰角が15°あり,レーダー照射に支障が出ることを挙げていました.

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 ’19.6 魁記事

■ この「15°」という角認識が,国の担当者らに欠けていたことが決定的でした.15°という角は,ケッコウキツイのです.この認識が地元紙の記者にはありました.

あの辺りに,そんな高い山ってあったかな?

■ 担当者には「秀才」もおり,30°や45°との付き合いは十分長かったはず.しかし,身近な例に落として認識するレッスンを受けていなかったのでしょう.

報道に登場する入試問題!

■ 数学の入試問題がメディアに取りあげられることは,メッタにありません.あったとしても「正解なし」や「盗用」など,不名誉な場合がほとんどです.

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 ’22.1.19 秋田魁新報(イージス関連の一連記事・・・’19新聞協会賞,’20菊池寛賞受賞)

 

■ その視点で,今回,国主催の共通テストで「山の仰角」問題が,”不名誉”でなく,SNSを含め,メディアで注目を集めたことは,レアケースとして記憶に留めておきましょう.

■ 下の記事は,他社が取りあげた内容です.新聞業界では,「後追い」での掲載は,極力避けたいことと察します.その上での取り上げですから,「イージス・アショア」記事が提起した内容の重さを感じます.

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     ’22.1.20 朝日新聞(地方版)

 

<補足> 

■ 予告していた内容(「検算」)を変更しました.共通テスト問題が話題となり,タイムリーでしたので.

■ 次回は,「スケート刃にかかる力」(予定)です.北京冬期五輪が始まります.フィギュアやスピードスケートの刃に「同情」します.なぜなら,もの凄い力が,あの細い刃にかかっているのでは?と.

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