“有理化”は一通りしかないのか?
√5 など根号で示される無理数に係わる独特の変形:有理化(rationalization)を話題にします.
ところで,1÷2.236 と 2.236÷5 について
①筆算で計算するとき,どちらがラク? ②両者の値はほぼ等しくなりますが,なぜ?
“有理化”とは?
■ 有理化とは,無理式において,その一部を根号のない形に同値変形することをいいます.最も一般的なケースは,分母の有理化です.
$$\frac{1}{\sqrt{5}}=\frac{\sqrt{5}}{\sqrt{5}\sqrt{5}}=\frac{\sqrt{5}}{5} $$
上式で,確かに分母から√ 記号はなくなりました.
√5≓2.236 ですので
$$\frac{1}{2.236}≓\frac{2.236}{5} $$
となるわけですが,左辺の計算はケッコウ面倒です.実際に計算して確認する手間ヒマが大切です.電卓によらず是非,筆算!でいきましょう.
左辺=右辺となる不思議さ&有理化の意義が感じられますね.
ところで
$$\frac{1}{1+\sqrt{5}}=\frac{1-\sqrt{5}}{1+\sqrt{5}-\sqrt{5}}=1-\sqrt{5} ? $$
は成り立つでしょうか? 計算するまでもなく,右辺=1-√5 < 0 はおかしいですね.
⇒ このように,有理化(√ 記号を消す)のために,引き算・足し算による方法はよろしくないことが分かります.
⇒ 結局,√ 記号が入った式の有理化には,√a・√a = a の等式活用する,かけ算による方法が残ります.
Q 上記例で,√5+√2 を分母分子にかけて分母を有理化しているが,√5+√2 以外の数はないのか?
⇒ twitter上で同主旨の質問がありました(‘21.12).(1) √5+√2 が突如,登場するワケ,(2) √5+√2 以外の数はないのか という声でしょうね.
A
(1) 展開公式:(x+y)(x-y)=x²-y² において, x=√5, y=√2 として x+y=√5+√2 としたもの.
(2) もちろん,3(√5+√2), -2(√5+√2) などを用いても有理化できます.このように,有理数×(√5+√2) は同じ機能を果たすので,同一視して1つと見なします.
ここで,√5+√2=k とします.
<補足>
■ 有理化に関連して,rational numberの訳が有理数なのですが,これは適訳ではなく,誤訳に近いとさえ感じます.明治当時に候補にあったという有比数がベターです.つまり,比が有る数,すなわち分数のこと!,分かりやすい!と思いませんか?
■ 次回テーマは「”・・・”の意味」(予定)です.”・・・”はよく目にしますが,いつも同じ意味でしょうか?
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