今さら極限値ですが…
極限値ですが,計算は難しくありません.ただ「計算できるけど.知らんけど」という向きが多いのでは.
■ 教科書における極限値定義はおおよそ次のようです.
極限値定義の押さえどころ:3つ
■ この例をみると,実にカンタンで,要するに,xに3を代入すればよいのだ!となりますね.
■ 結果的にはそれでokなのですが,定義を甘くみてはいけません.
■ 定義のpointは3つです.
① xはaにいくらでも近づく.しかし,aには到達しない
⇒ xがaとなった瞬間を不問(棚上げ)としたワケです
② 一定の値b とは,有限確定値:b という意味
⇒ したがって,bが∞や±1(振動)となるときは,bは極限値ではない
また,b=f(a) とあえてしていない点も注意(①より,x=aは除外されているから)
③④ 波線箇所
⇒ x=a が除外されているにもかかわらず,有限確定値bが求まれば,「極限値bが存在する」として=を用いる.
⇒ つまり,「いくらでもbに近づく」というプロセス保証がなされれば,=b とする大胆な決め方となります.2+3=5 の=との違いがありますね.
同趣旨例:s=0.99999… という級数は,いくらでも1に近づきます.
よって,0.99999…= 1 です(とします).
極限計算のそもそも
■ 極限の定義の解説後,即,前述のような実にカンタンな計算例から始まり,安心しているといかにも入試問題というレベルへと進みます.
つまり,何のための極限だったのかという根本はどこかに追いやられ,問題のための問題が続く・・・こういう現状,ありそうですね.
微積分の歴史を踏まえて…などと大仰な構えはしませんが,教科書で振り返りましょう.
■ 上図のように,
平均の速さ(小6)⇒ 変化の割合(中3)⇒ 平均変化率・接線の傾き(高2)
と段取りを踏みます.
接線の傾きを求めるときに極限の概念を用いた(絞り出した)ワケです.
具体的には上図で
$x→a のとき,\frac{f(x)-f(a)}{x-a}\ (※)がどういう$
$値になっていくか(どんな値にすべきか)? $
⇒ x=a の瞬間における※式の値を求めたい
しかし,単純に代入すると,※式は,0/0 ! という結果になり,計算としては挫折します → “不定” とか “解なし” etc
「計算はできるが,中身は知らん!」をどう防ぐ
■ f(x)が連続関数の場合,極限値計算は,「xを限りなくaに近づけた結果」と「 x=aとして代入した結果」と一致します(例:x→2 のとき,x³→8 )
この事実は「ごく自然・ごく当然」であり,多くの学習者に「当たり前感」が残りますが,学びとしては残念です.⇒ 「計算はできるが,中身は知らん」の原点
したがって,※のような不連続関数と向き合わざるを得ない接線の傾き(微分係数)をどう求めるか(どう定義するか)を徹底して問いかけ続ける必要があります.
次は,バカていねいに接線の傾きを求めた例です.
<補足>
■ 次回のテーマは「学習の進んだ子ども(その3)…1から1000まで書き続けた小1生」の続編です(予定).
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