物価高ニュース ⇒ 正しくナットク?
先日のNHKローカルニュースで「A市の生鮮食品を除く物価指数が、前年同期より2.7%アップしました。これで27ヶ月連続で2%超えました」と報じられていました。

■ ここで
これで27ヶ月連続で2%超えました
についてですが、何を伝えているのでしょうか。

■ 図で示したように、前年同月比が27ヶ月(2年と3ヶ月!)の長きにわたり2%アップが続いているということです。
したがって、・・・→ a’ → b’ → c’ (先月比2%アップ)の意味ではありませんが、生活実感としてはこちらの方がフィットするかも知れませんね。
※ 前年同月比で+2%が続いたとしても、a’ >b’ >c’ (デフレ)というケースも計算上あり得ます。
■ そこで、12ヶ月の物価指数に焦点を当ててみます。
Q 毎月の物価指数一律2%アップが続いているとして、次の中で正しい主張をすべて選んでください。
- 来月以降も2%超えの物価高が続くだろう
- 先々月960円だったお菓子が、今月1000円になった
- 先月1000円だったお菓子が、今月1020円になった
- 現在の物価は、12ヶ月前の物価の約1.24倍である
- 物価高もそろそろ頭打ちで、来月からは横ばいかダウンするだろう
※周囲の何人かに問うて見ましょう(結果にショックを受けるかも)。
A
1:×(根拠なし)
2:×(960×1.02=979.2, 979.2×1.02=998.784≠1000)
⇒ 960×1.02^2=998.784(← 利子が利子を生む複利計算)
3:○ (1000×1.02=1020)
⇒ 1ヶ月なので単利としての計算でも正解
4:×(1.02^12≒1.268 よって約1.27倍)
5:×(根拠なし)
敬遠したくなる問題
■ 上記問は、学習者の百分率理解度をチェックできる基本^重要な問いかけですが、学校の定期テストでは出題されることは少ないかも(入試でもほとんど見かけません)。
⇒ 出題側にとって、敬遠したくなる問いなのです!
⇒ 敬遠されるワケ

① “基本の基”の問なので、もし誤答率が高いと分かったとき、ケアが大変(どこまで遡ればいいのか~)
②”基本の基”問題をストレートに出題すると、創意工夫に欠けると評価されやすい
⇒ ①②ともカイゼンへのベクトルの向きが間違っています
※かつて学生に「10%の年利息で100万円借りた。1年後には110万円支払うことになる。では2年後は?」との問に、120万円と答えた学生が少なからずいた。こんな調子で将来、家のローンとかを考えていくのかな…!
ストレートな出題
■ このような風潮に警鐘を鳴らすべく、全国調査や入試でハッとさせられる、ストレートな出題とときおり出会います。
例1 全国学力・学習状況調査 小6(H20)

■ 特に(2)に注目しましょう。要するに「12は6の何倍か」を問うているワケです
⇒ 全国正答率は55.7%
本問は分数のソモソモを突いており、ここがあいまい・ハッキリしない小6生が半数近くいることが判明したのです。
他の例:1/1.04 と1との大小を問うと、実際に 1÷1.04 の計算に走る
⇒ 分数指導に限った話ではないのですが、ドリル学習に重点を置きすぎ、概念理解の徹底を怠った結果と言わざるを得ません!
※なお、本問の出題後、全国で反響があり、教科書にも類題が掲載されるなどの結果、分数ソモソモの徹底はかなり進んだようです。
⇒ このように、ストレート問題の波及効果は大したもの。かつて加法定理(三角関数)の証明が東大で出題されたときは「良問」として注目されました。
⇒ 研修会実施よりも入試問題の創意工夫が算数・数学教育カイゼンへの近道です!(邪道か?)
<補足>
■ 先日、ぷりくらさんより「極めて深刻なエラー」の指摘を受けました。本blog消去も考えたのですが、ぷりくらさんからのアドバイスにより何とか形を残したところです。詳しい内容は、コメント欄で参照できます。
■ 前述「12は6の何倍か」について、たまたま職場で取材に来ていた韓国SBSのクルーに尋ねたことがあります。
「韓国の子どもなら正答率はどれくらいか?」
⇒ 「そりゃ、100%でしょ」と即答
そんな甘くないですよ、と言いたい反面、彼の自信に満ちた「反応」が記憶に残っています。
■ 次回テーマは「小学校教員採用試験合格者へのお願い」(予定)です。
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これは、日本語の問題です。
問題の「これで27ヶ月連続で2%超えました」は、
「前年同期より2.7%アップしました。」に続くものです。「前年同期より」を無視してはいけません。
比較の対象は、 “前年同期での価格” なので、
「3. 先月1000円だったお菓子が、今月1020円になった」
は間違いです。
“前年同期”の“同期” が具体的に分らないのですが、仮に “去年の同じ月” とすれば、「去年の10月に1000円だったお菓子が、今年の10月には1020円になった」となります。記事の日付が10月10日なので、10月の話としました。
ぷりくら 様
ご指摘の通りです。まったく弁明のしようもないことであり、自らの浅学を恥じるのみです。
本文にも注釈を書き入れましたが、「反面教師」としてあえて残すか、早々に本blogを消去するか、迷っております。
しばし検討するお時間を頂戴します。
ありがとうございました。
「敬遠したくなる問題」の「出題側にとって、敬遠したくなる問い」とかは、価値がありますし、記事を消すこともないでしょう。また、「これで27ヶ月連続で2%超えました」だけの話であれば、この記事は問題がありません。
「一部を切り取って、そこだけに注目した話」とすればこうなるというだけの事で、「全体としては別問題だ」ということを断っておけば良いでしょう。
なお、引用では、太字にしたりしないで同じ大きさの文字の方が正確です。太字や赤字は、そこを強調するものです。引用元がそうなっている場合はその通りにするしかないのですが、「引用では、自分の主観は入れない」のが原則です。太字では、どうしてもそこだけに目がいくので、自分の声によるエコーチェンバーが生じます。自分の声によるエコーチェンバーも避けるためにも、太字や赤字は避けましょう。
わんだふるぷりきゅあ!
2023年2月4日放送開始のアニメーション。日曜朝08:30~09:00。こむぎちゃん(犬)はかわいいなあ。
先程、わんだふるぷりきゅあ! を、「2023年2月4日放送開始」と書いてしまいました。
1年ずれてます。正しくは、
2024年2月4日
でした。この犬猫アニメをみんなで見ましょう。
ぷりくら 様
処理対応について冷静な判断をしていただきありがとうございます。
今回のテーマの出発点は、等比数列を「問題のための問題」化している一例と考えていたことでした。
そんなとき、NHKニュースがあり、飛びついてしまったというのが経緯です。
引用文の扱いについてのアドバイスも感謝します。
まずはお礼まで