小学校”教採”合格の皆さんへ

教職 ≓ ブラック」という等式がすっかり世間に定着してしまった感ある中、保護者との距離がもっとも近い小学校教員を選択し、教採(教員採用試験)という第一ハードルを飛び越えた皆さんに敬意とエールを送ります。

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■ 「やっと就活の追い立てから逃れられました」という安堵の声がありました。心中、よく分かります。

■ 大学入試合格とは質の異なる関門突破・・・経済面における保護者からの独り立ちとともに、今後歩む方向を自身&周囲(社会)へ宣言したことになります。

独立宣言ですね

■ 若さに加えて、キラリと光るキャラクターでもって勤務先小学校に新風を吹き込んでください。

⇒ その「準備体操」をしましょう。心構えやクラスづくり等の大切さについては機会あるごとに学ぶ機会が多かったかと。そこで、意外と盲点になっているのが「教科」ではないでしょうか。さっそく、具体論に入ります。

■ 算数に限らず、量感覚・空間認識力を身に付けていくことは、他の教科、さらには生活全般に必要(←必須と言いたい)なセンスになります。

■ 今や「液晶画面」全盛期。何でも画面上で「例示」してくれますね。動画もフツーになりました。したがって、ヒトは、複雑な事象も豊かな画面を見て「分かった気になる・させられる」ワケです。

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■ しかし、自身の頭の中で再現できるかどうかは全く別問題です。むしろ、その再現力は「低下している」と見ています。

次は、やや古い調査資料ですが、今日でも十分通用する内容です(産経新聞記事より)。

Q1 図のように、びんに水が入っています。びんを傾けたときの水面を図2に書き入れてください。

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■ 対象は、関西地方の教員養成系女子大学1年生165名です(同大学は教員養成で名の知れた伝統校)。

⇒ 結果:正解1番 18%(誤答例2,3番のように水平認識だけは合っている学生も含めて70%。残りの30%は、誤答例4~9番のような6歳以下の幼児並の認識)

⇒ 伝統校である同大学にしてこの状況

⇒ 担当のF教授(当時)は、「まじめに答えた上での結果でショックはより大きい。受験体制の中で、今の学生は自然科学に対する認識がストップ、または、退化している」とコメントし、改めて「実験」の意義を強調

■ やはり、画像だけではダメなのです。日常生活の中にも「実験」があって体験しています。フロに入ったとき、水面が傾いていたらおかしい!と判断できますね。ただ「学び」と結びついていないのです。身の回りの中でも量感覚を磨くことは可能です。

指導者の水準が「幼児程度」なら子どもたちへのマイナス影響は大きいです。学びを支えるベースを身に付けたいもの(卒業までまだ数ヶ月あります)

Q2 次の各問で”量感覚”について自己点検してみてください。

(1) 1円玉の重さは知っていますね(1g)。では、1円玉の周の長さはどれくらいですか?

(2) パリオリンピックも終わりましたが、あるランナーが100mを10秒で走ったそうです。時速で言えばどれくらい?

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(3) 写真は小学校教室内に面積1m²の正方形をテープで表しています。この正方形の中に最大何人くらい入れそうですか(小5生とします)?

(4) バスケットボールの中に500mlのペットボトルで水を入れます。何本くらいで満タンになりますか?

(5) 今年も大型台風には悩まされましたが、気象衛星は台風を真上から撮っており、画像では巨大ドーナツのような形に見えますね。では、台風を真横から見るとどんな形に見えるでしょうか?

<答>

(1) 約6.28cm

(2) 36km/h

(3) やったことがないので分かりませんが、肩のりもよいとすれば結構な人数になりそう。

(4) 約15.4本

(5) CDのような薄い円盤(ドーナツほど厚みはなし)

<解説>

(1) 仮に誤答であったとしても「6cmもある?」と意外性に驚いたヒトはOK。何も反応のないヒトは心配です。長さに対する量感覚センサーは大丈夫?

(2) 100mを10 秒 ⇔ 速さ:10m/s ⇔ 36km/h  この結果は使えます。例:台風の風速が50m/s → 180km/h これは凄い! 

(3) 担任の話:量感覚(1m²)を豊かにする一つの環境整備とのこと。参考になりますね。ちなみに担任の先生は、数学が副免許でした。ナルホド!

(4) バスケットボール(国際規格7号)は周の長さ:約77cm ⇒ 半径:約12.26cm よって、体積≓7716cm³

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(5) 大型台風の直径:約1000km, 対流圏の厚さ:約10km ⇒ 直径:厚さ≔100:1 ⇒ ちょうどCD のような形ドーナツ形

■ Ⅰ「教育の機会均等 ⇒ 同一教育 or 学力保証 」という解釈がされがちですが、正しくないと考えます。

むしろ、Ⅱ「すべての子どもの能力をそれぞれ伸ばす」という理解&実践が適切かと(特に、保護者の視点から)。Ⅰは学校側の視点に近い。

■ さらに、”才”ある子の才を見逃すことは、先生(学校)のとも言えます。

スポーツや芸術部門なら、学校外にも各種コンクール等の評価システムがあることから子どもの優れた”才”が見逃されることはほとんどない状況かも知れません。

通常の学習についてはどうでしょう?

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■ 過日、ある小学校校長さんと会話する機会がありました。

「学習の進んだ子どもっていますよね?。普段の授業ではどんな様子ですか?」

「タブレットを見ていることが多いですね」

※ 校長や学校を責めているのではありません。むしろ校長の”実態把握センサー”が機能していると感じた次第(実態が分かれば何らかの手立てを打てますから)。

■ 来春から毎日、ガチャガチャとにぎやかな小学校教室で奮闘するであろう皆さんに、ある小6生を紹介します。

本blogでも取り上げ済み

学習の進んだ子ども

■ 算数・数学の自由研究コンクール(理数教育研究所主催)で,T君(九州地方の当時小6生)はテーマ「数を形に表す」で文部科学大臣賞を受賞しました.

T君の発表原稿の一部を紹介します.

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要点をまとめますと

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■ いかがですか?分数をあるルールによって図形で表す、言い換えると

分数がにイメージできた

という内容です。

コンクールの表彰式会場内では本作品についての話題で持ちきりでした。

・無味乾燥な分数を形にできるとは!

・何という”数”感性!

・こういう子どもがいるのか!・・・

■ T君の自由研究作品と最初に出会ったヒト(担任とか)が、不幸にして数理面で「鈍感」であり、作品の価値を評価できなかったとします。

すると、作品が全国コンクール第一席という頂点に立つこともなかっただけでなく、T君の持っている「可能性」の芽を摘んだかも知れません。恐ろしいの2乗です。

※レベルは異なりますが、ガロア理論を構築した天才数学者ガロアについてです。生前中、彼の研究は日の目を見ることはありませんでした・・・理由は言うまでもなく、周囲がガロアの理論を「一蹴」したからです。

<補足>

■ 次回のテーマは「24.1大学共通テスト数Ⅰ・A 問2について」(予定)です。少々気になる問でした。

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