「1=2 ならば 2>3」は真?
ある命題「p→q」※について,p:偽 のときは,qが真でも偽でも※はつねに真 なる命題となります.つまり
1=2 ならば 2>3
6>9 ならば 2+3=5
ともに真なる命題なのです.
昔々、ある著名な数学者はこの結果について「あれこれ悩んでも生産的でない」と述べていたことを思い出します.
でもその背景を知っておいてソンはないですね.
生産的でない悩み ⇒ 一応の説明
■ 命題とは「真偽(○×)がハッキリしている数学的な文章」を指します.
例:「3の倍数は,6の倍数である(×)」,「長方形ならば平行四辺形である(○)」
(注)「a>1 である」などは,aに具体数が入ると,真偽がはっきりするので命題とします.
■ ここで,数学のいつものパターンですが、命題と命題からあらたな命題を作っていきます.命題をp,q,r…と書きましょう.
やや抵抗感のあるのが、命題「pならばq」です.
pを仮定,qを結論といい,p→q と表します.
<ポイント>
① ”p→q” 全体(セット)で一つの命題を表す
例
「x>5 → x>2」(○)
「カサが開く → 雨が降る」(×)
② p→q は,「pである限りq」ということ,すなわち,「”pでありながらqでない” ことはない」という意味である(二重否定)
例:「傘が開いているのに,雨が降っていないはずはない」(←日傘もあるなどと言わないで)
③ p→q の真偽表を作ってみよう
■ 上の真偽表を見て気づくことは,pが偽(×)のときはqの真偽にかかわらず,「p→q」は常に真(○)となるワケ(※)です.
※ 異議を唱え別ルールを設定することも可でしょうが,真偽表を再度作成することになり,従来のルールとの整合性を採るのは至難の業かと.
⇒ 「生産性がない」という数学者のコメントを思い出したい.
例1「1=3 ならば 2+3=7 」は真(○)
例2「3>1 ならば 2+3=7 」は偽(×)
以下は,強力な論理ツールである“対偶”についてです.
対偶の“切れ味”
■ ある命題とその対偶は“同値”なのです.時に,対偶は凄い切れ味を発揮します.対偶の活用を身に付けましょう.
Q1 命題「x²≠4 ならば x≠2」は真か偽か.
A1 まともに取り組むとちょっと悩まされますね.
対偶をとると「x=2 ならば x²=4」← 当たり前!
よって,真です.
Q2 「しかられなければ,勉強しない」の対偶は
「勉強すれば,しかられる」となりそうですが,はて?
A2 日常用語に記号論理を適用する際,因果関係や”時間”が抜けてしまうことがよくあるので注意しましょう.
正解は「勉強したとすれば、(その前に)しかられていたときである」です.
<補足>
■ ある約束事を拡張する際、これまでの結果と矛盾なく整合性をとるため,新たな取り決め(定義)の必要が生ずる場合があります.a⁰=1 や 0!=1 の扱いも同様でした.
■ 次回テーマは年始めですので数学を離れ「リーダーが放つ意欲をそぐ言葉」(予定)です.
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