中学生に”図で説く”←不定方程式:ax+by=1(a,b互いに素)

不定方程式のイメージはどうも明るくないようです.「不定」自体から受ける印象も不気味ですしね(定方程式という用語もない!).

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■ 2x+3y=5…① を方程式を見なすと,(x, y)=(1, 1),(-1, 7/3)など解として無数の組があります.つまり,解が”定まらず”です.よって①のような方程式を不定方程式といいます.

※ sinθ=0.5 の解は無数にありますが,不定方程式とはいいません.

■ 高校で扱う(一次)不定方程式では

整数係数であり,かつ,方程式の本数が未知数の数より少ない場合における整数解を求める

ことが実際の学ぶ内容となります.

次が整数論における重要定理の一つです.

定理 aとbが互いに素のとき,不定方程式:ax+by=1 ② には整数解が存在する

⇒ 高校数学で登場する「存在定理」の一例です.解の具体像は提示しないが「解はある」と存在は保証するというワケです.※二次方程式の解についていえば,解の具体の式:x=(-b±√b²-4ac)/2a へと導く一連の展開で,解の存在も明示しています.

例1 4x+7y=1 について,4と7は互いに素.よって,整数解をもつ.実際,(x,y)=(-5, 3) は解(の一つ)である.

例2 2025x+7y=1 について,2025と7は互いに素.よって,整数解をもつ.実際,(x,y)=(4, -1157) は解(の一つ)である.

■ 大別して2とおりの証明方法(ユークリッドの互除法を用いる,またはbによる割算の余りに着目)が知られていますが,ここでは,中学生を念頭に,図解による「証明もどき」に挑戦します.

定理は係数,解とも整数に限定しての主張ですから a, b は負であっても構いません.

そこで,たとえば,a=-4, b=7 とします.②は,-4x+7y=1, つまり,y=(4x+1)/7 …であり,そのグラフは次のような直線Lを表します.

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ここで本定理の主張について

「①が整数解をもつ」とは直線Lが x,yともに整数である点P(x,y)をとおるのことと解釈され,上図では(5, 3), (12, 7)などが点Pに該当します.

なお,このように座標が整数値で示された点Pを格子(こうし)点といいます.

つまり,本定理は

定理 a,bが互いに素のとき,直線:ax+by=1 ② は,格子点をとおる

と言い換えられるワケです(実際は,格子点は一つではない.無数!). 

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補題1

上図で,aとbは互いに素とする.このとき,斜辺AC上にはA,C以外に格子点は存在しない.

(証) 点B’のほかC’が格子点と仮定すると,△ABC∽△AB’C’ が成り立つ.つまり,b/a=B’C’/AB’ となって,b/aが約分できることになり,aとbは互いに素に反する.

上図で,aとbが互いに素のとき,格子点を頂点とする直角三角形のうち,△ABCより小さいものは存在しない.

■ 定理の証明に向けて話を進めます.

以下,a=-4, b=7 として解説します(それらの数をそれぞれa,bに置き換えると論理展開の一般化ができます).

次は,-4x+7y=0 ,つまり,一次関数: y=(4/7)x の一部を示しています.

図Ⅰ

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図で,x=0,1,2…,6 に対応した直線AC上の点をそれぞれ点P0 ~P6 とします.

さらに,各点の関数値yの小数部分(図で各点下部赤線分の大きさ)をそれぞれr0, r1,…,r6  とします.

たとえば
P4 のyの値は,y=(4/7)x=(4/7)・4=16/7 となります.
ここで,16/7=(14+2)/7=2+2/7 より,r42/7 

 同様に,r0=0, r1=4/7, r2=1/7, r3=5/7, r4=2/7, r5=6/7, r6=3/7

図Ⅰから気付くこと

補題2

rk (k=0~6)の値は{ 0/7, 1/7, 2/7,…, 6/7 }のいずれかであり,かつ,重なることはない

⇒ 「点P0 ~P6 の各関数値yを7で割ったときの余りは{ 0,1,2,…,6 }のいずれかであり,同一の値となることはない」と同じ意味になる.

証明は以下のとおり

図Ⅱ

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図Ⅱで,x=i,jにおける「赤線分」の大きさが等しいと仮定する.

つまり,O’Pi=B’Pj .このとき,四角形PiO’C’Pj は平行四辺形となるので,PiPj ∥ O’C’ よって,△O’B’C’∽△OBC  

これは,△OBC より小さく,△OBCと相似な三角形が存在することになり,補題1に反する.よって,補題2が示された.

■ この結果より補題2から,-4x+7y=0 の場合,赤線分の大きさが6/7,つまり,OC上の点Piの関数値yを7で割ったときの余りが6という箇所は必ず1つだけあるということ(実際,r5=6/7 です)・・・③

■ 定理を再掲します.

定理 a,bが互いに素のとき,直線:ax+by=1 ②は,格子点をとおる

前述しましたように,a=-4, b=7 として証明(もどき)します.適宜,数→文字への置き換えでナットク方お願いします.

図Ⅲ

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証明

図Ⅲで,L1: -4x+7y=0 ,L2: -4x+7y=1 とする.

このとき,上記③の結果から,L1上でx=0,1,…,6 のそれぞれに対応した関数値yの小数部分(各点下部赤線分の大きさ)がジャスト6/7となるxが一つだけある(実際,上記例ではx=5 が該当).

ところで,直線L2 は 直線L1をy軸方向に1/7平行移動したもの  ← L2: y=(4x+1)/7=(4/7)x+1/7

つまり,6/7+1/7=7/7=1 となり,直線L2は格子点(5,3)をとおることが示された.

<補足>

■ 今回の「ドロくさい」証明方法はオリジナルです(多分).a,b のママで展開していたのですが,途中で方針を変え,具体の例でやってみました.

■ 次回テーマは「重心,第2弾」(予定)です.重心は操作活動の外,思考実験も出来るし.教材・教具の代表みたいな感じがしますね.

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