“腕力”計算は無意味か?

「いかにスマートに,かつ,短時間で結論に至るか」を追究することは数学を学ぶ際の必須姿勢です.

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■ しかし,学びのプロセスにおいて,ときには「腕力」で対処することも無意味ではなく,特に,考えている対象が有限とおりの場合,”しらみ潰し”でコトに当たると先が見えることもありそうです.

■ 何か困難にあった際,全体像が分かると不安も軽減されますね.数学を学ぶときも同様です.即,計算へと走る前に全体の把握に努めたいもの.

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■ 過日,X(旧twitter)上で,ある問いかけが目を引いていました(投稿者:ふたばさん).

知る人ぞ知る「ちりとりとゴミ」問題です.

■ 某有名私大幼稚部の入試問題だったとの説もありますが,実際のところは不明です.

Q1 図のマッチ棒2本だけを動かして,ゴミをちりとりの外に出しなさい.

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■ 子どもから高齢者まで年齢を超えて手応えありませんか? 今回のテーマに沿って話を進めます.

A1 <思考の方向>

(1) 4本から2本を選ぶ ⇒ 有限とおり(大したことない)

(2) 全部,列挙する ⇒ 4本から2本選ぶ:₄C₂=6とおり

(3) cとd は左右対称なので実際は次の4通り

①a,b  ②a,c  ③b,c  ④c,d

(4) 実際に操作する

①,②、④はどう置いてもゴミは外に出ない

⇒ 消去法から③が正解.ではbとcをどう置くべきかと全神経を集中させる…

⇒ 多少の試行錯誤の結果,成功! (…正解はあえて書きませんが)

■ この問から分かることは

考える対象に対して

Ⅰ もれなく Ⅱ ダブりなく

整然と全体を列挙する

ことで,戦略が立てやすくなり,先が見えてココロも落ち着きます.

Q2 15x²-31x-24 を因数分解しなさい.

A2 <解と思考の方向>

■ 生徒の様子を観察すると,大半は即「たすき掛け」式で取り組みます.その際,気になることは,戦略がたすき掛けだけであり,まぁ「思考抜き作業」という感じの姿が多く散見できます.

⇒ メンドーな計算でも,次につながる何らかの「思考」を押さえたい

■ 出発点に戻ってみます.

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■ 次はたすき掛け計算に頼らない「素朴」な解法です.

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■ 本問の因数分解ですが,平均的な高校生の正答率は50%未満だろうと見ております.原因の一つに,”背景理解抜きのたすき掛け指導”があるのでは?

正解が「有限」の中にあるのですから,たすき掛けに頼らずトコトン挑戦させるべきです.そのうち,-31という数に着目して早くゴールインする生徒も出てきます.そのような発見・気付きが思考につながります.

■ 整式の因数分解とは,整式の展開の逆演算です.したがって,展開指導時に因数分解を同時並行で扱う手もあります.混乱する!という声もありそうですが,経験則から言えばありません(でした)

微分と積分計算の初歩でも同様の対応をしていました

⇒ 「今,微分したけど,微分結果から元の関数って求められる?」という調子)

Q3 f(x)=10x⁸-5x³-3x²+7 を x+1 で割ったときの余りを求めなさい.

A3  剰余定理を用いると,余りは,f(-1)=10+5-3+7=19 となりますが,導入時に,是非,筆算で余りを求めさせたいもの.この壮大でムダな筆算を体験することで,剰余定理や因数定理の意味と意義,まぁありがたさが分かりますので,長い目で見れば元は取れます

■ 以前,本blog「学習の進んだ子ども(その3)」で,”1~1000まで書き続けた小1生”をupしました.1000まで書き続ける過程でその少年(後に数学者)はどんな学びをしたのでしょうか?令和の時代の学びに活かさねばなりません.

1~1000まで書き続けた小1生(改訂版)…学習の進んだ子ども(その3)

<補足>

■ 公式の当てはめ方の上手な指導も見受けますが,思考力の育成という視点はしっかりと押さえたいものです.

■ 因数分解で,正解にたどり着いたとき「これ以外の解(数の組み合わせ)はないのだろうか?」という疑問は価値ありです.

■ 次回テーマは「プレゼント交換」(予定)です.完全順列は手強い!

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