「% 」の浅読み
日々,画面・紙面上で「%」を見ないことはまずありません.経済成長や人口減少,気候変動等々,ヒトに関わる活動変化の大半は数値(特に%)で表され,重宝がられています(例:物価上昇率3.2%).
ここでは昨今気になっていることを話題にします.
%自体には罪はありませんが,結果として %よるミスリード です.例を挙げましょう

■ 上記記事で見出しをざっと読んだヒトは,学生の98%,つまり,
ほとんどの学生は順調に就職している
と判断することはないのでしょうか?
■ 仮に,ある大学の4年生100名がいて就職率98%だったとします.この大学の就職者数は何人でしょうか?
(1)98人, (2)80人, (3)64人

■ すべて間違いです(ある意味ではすべて正解)なのです.
記事を注意深くじっくり読みますと,国が公表する就職率の計算において,分母は「就職希望者」です.
当該大学の就職希望者:nとすると
■ 極端な話,100人の学生のうち,就職決定者数39人でも記事の内容と矛盾しません(n=40 として).

■ つまり,就職率とは,在籍している学生のうち,大学院等への進学者,留学者,休学者,不登校傾向者等々,保護者にとって非常に気になる存在である集合X を除いたdataなのです.
■ したがって,就職率が 98%→高い数値→安心 として思考停止してはいけませんね.
なお,集合Xのほか,中途退学者数Yなどにも注目したいところです.
■ もう一つ例を挙げます.内閣支持率についての報道です↓

■ 上記報道から
国民の40%は「他の内閣より良さそう」と考え内閣を支持している
と判断しそうになりませんか?(実際,いると思います)
つまり,国民100人いれば,40人は「他の内閣より良さそう」としている・・・×です
\[ 全体の支持率が39%であり,そのうち,40%が \] \[ 「他の内閣より良さそう」としているので, \] \[ その理由割合は,39%×\frac{40}{100}=15.6%である. \]■ したがって,国民100人いれば,「他の内閣より良さそう」であるから内閣を支持する人は,16人弱ということになります.
⇒ その他の理由も含めて内閣を支持している人は,総計39人ということ

(注)内閣への意見・批判等ではなく,あくまで数値解釈の「誤訳」例として扱っていますのでご了承ください
<補足>
■ 数学教材に際して,リアル教材開発にもっと注力すべきと考えています.
例:連立方程式の導入時,買い物かごに複数の品を入れてその総額から商品の個数を求めさせる(←導入としては巧みではあるが「数学ありき」が見え見え)
⇒ 画像や報道,自然現象の中に「数理を見つける」姿勢を強化したいもの
■ 次回テーマは「面積と比例」(予定)です.
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