「かつ(and)」の教科書デビューはいつ?
昔³,数学Ⅰの授業でのこと.入学まもない頃で高1生のクラスにはまだ緊張感が漂っていました.

「・・・ここで,a は自然数であり,かつ,a≦7/2 であるので・・・」と解説を進めていましたが,フト,教卓席の真ん前に座っている(マジメそうな)男子生徒Aが気になり,質問をしました.
「A君(昨今は “さん” 付けとか),さっき,私は『a は自然数であり,かつ,n≦7/2』と言ったんだけど,聞いていました?」
「ハイ」
「ところで,”かつ”ってどういう意味?」
Aは一瞬,戸惑った様子でしたが,言いました.
「よくわかりません」
この瞬間,私は身体にビリッと電気が走ったようなショックを受けました
⇒ 一事が万事.これまでの15年間(当時のキャリア),今回のような語句を[「無神経」に使用してきたのではないか?と
そこで,とりあえず,数学の授業で説明の際,日々多用されている接続の論理用語に注目しました.
例:かつ,または,したがって,ゆえに,あるいは,ところで,さらに,一方etc
論理用語(and)の登場
■ 「かつ(and)」を例に挙げます.古語であり日常用語として家庭はもちろん,教室内でも使用されることはまずありません.国語の中学校教科書をざっと見たところ,巻末のまとめでチョロリと紹介している例がありました.
数学では,高校数学Ⅰの「集合と命題」で取あげられます.つまり,古語である「かつ」は,実質,高校数学で習うわけです.
しかし,「かつ」の教科書デビューは,かなり早い段階なのです.意外かも知れません.何と小学2年です.


■ いうまでもなく,上記「・・・直角で,」の「,」が,実は「かつ」を意味しています.大切なことは,指導者である先生がその認識を持っているかどうかです.もちろん小学生にダイレクトに伝えることではありません(それはムリ).
⇒ 日常用語としても次第に理解が進む論理の発端(教科書デビュー)であり,高校になれば単元としても正式に習う という見通しの中で「今」の指導に対応しましょう.
■ 別例.ふだん何気なく使用している「2直線mとnの交点P」とは,「点Pは,直線m上にあり,かつ,直線n上にある点」という意味を表しています.
小中高の数学指導者は,つねに,源流・原点に関心を持ちたいもの.それでもって解説や展開の仕方もより工夫されていくに違いありません.
⇒ 「かつ」は国語の担当だろう!などと言わないでください.数学で扱うのが実際的で現実的なのです
<高校での指導例>
「論理用語の『かつ』についてですが,高校以上の数学ではしばしば使われます.
古語であり,堅苦しい響きですね.
ただ,小学2年生辺りで既に皆さんは出会っているのですよ.
どんな例があるか思い出してみようか.実は小2の教科書にはこんな例が・・・」
(以下,略)
なお,上記教科書文中の「,」ですが,下のように拡大してみますと,カンマの中に「かつ」と書かれているのを発見!

(※)このカンマの「小細工」に は悪戦苦闘!しました.数学教育専攻の学生に紹介したところ,「冷めた」ウケをいただきました.
<補足>
■ 論理用語でも「または(or)」は「かつ」と比して,難しい!ですね.日常用語との違いが大きいことも原因です(「天丼かカレーライスを奢る」は,どちらか一方という意味になりますが,数学の世界では両方奢られてもよいのですから).
■ 当blogは200回を超えました.つきましては,テーマの設定をときおり過去blogから「リユース」していきます.「リ」にこだわってより深い内容にするよう努めます.
■ 次回テーマは「題意」(予定)です.中学後半・高校の数学では,授業がほぼ「問題解き」という場面も多くなります.その際,題意が「教師の題意」で終始することは避けたいものです.つまり,生徒自身が解きたくなる,挑戦したくなるような方向の追究を・・・
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