「角」を測るって、どういうこと?――弧度法の原点に立つ(その1)
cos5/3πの正答率が41%というdata(※)があります.関数値のチェックという約束(定義)レベルの問いに対して正解者が4割という数学単元は他にないのでは? 数学Ⅱで学ぶ三角関数,特に弧度法が高校数学の「鬼門」である証左でしょう.
※ ’13埼玉県標準テスト
弧度法克服・攻略への歩みを手順を追って進めます.
まず,角を量としてみたとき,その量感覚はいかがでしょうか?
Q1次の画像は,ある温泉街&旅館で目にした石段・階段,そして蔵王スキー場の斜面です.それぞれの角度はどれほどでしょうか?
①15°前後 ②20°前後 ③30°前後 ④40°前後 ⑤50°前後 ⑥60°前後 ⑦70°前後 ⑧75°前後



A1 順に,① 15°前後(②もあり得る),③ 30°前後(実測済み),④40°前後(公表値38°)
生徒や学生は,一般に高い数値で答えています.旅館の階段は40°とか(40°は「はしご」ですね),蔵王のカベに至っては80°などと.
※ある女子学生が3問正解だったのでワケを聞くと,スキーが得意で,「30°の角度と言えば,ケッコウ手応えのある斜面なので」という説明でした.ナットク.
角度の認識が「貧弱」であるワケ
■ 「体感しにくい量」であることに尽きます
・長さ,広さ,重さなどとは,日常的に「接して」いる(→国の広さを巡って未だに争いが絶えない人類の歴史もある)
・速さ,時間,気温なども,車のスピードメータ,時計の表示,気象ニュースを通して日常生活に「溶け込んで」いる
■ しかし,角度はどうでしょう?
・「あの航空機の仰角は50°くらいかな?」などといった会話は,まず,ない!

・家庭の居間に,分度器は,まず,置いていない!
⇒ したがって,30°,45°という角が登場するのは,学校の教室,しかも,算数・数学の世界だけ!
⇒ さらに,入試のこともあって扱う角も,有名角(30°,45°,60°・・・)がほとんど.したがって,38°などという角は認識できない!
■ 以上のことから,「角」はヒトに極めてなじみにくい量であることを確認しましょう
⇒ 効果的な対策は思い浮かびません.学ぶヒト・数学リーダー双方の「自覚」が必須
■(参考)1° とはどんな角か?
⇒ 100m走で、ゴールに立つやや背の高い男子高校生の頭部を,スタートラインから(ひれ伏して)見たときの仰角がおよそ1°
(∵ tan1°≓0.0175 より)
角の「とらえ方」を変えなきゃ

■ 図を見てください
<小3> 上図のように頂点から出ている2つの辺がつくる形を「角」という
⇒ 角は図形の一つとして扱っています
⇒ ただ,図形としての角は,2辺の開き具合ですから,頂点や辺と比べてつかみ所がない感じ.分度器に頼ることになる
角の認識が弱い原因の一つがここにありそうです.
<小4> 下図のように,角とは,直線を,端点を中心に回転してできた形として扱う
⇒ 角を回転量と見なすことで,後の三角比・三角関数に繋がっていきます
■ 以上のことから,分度器は,小3由来の「図形としての角」を測定するツールと見なせます
⇒ 中高と進むにつれて,角の扱いは回転量としての性格が急に強まっていきます
⇒ したがって,角認識が小3で留まっている「分度器こだわり派」のヒトは,一刻も早い角回転派への移行が必須
続きは(その2)へ
<補足>
■ 「鬼門」三角関数は.相似比一定をベースにした小中高を貫く格好の学びです.
■ 次回は本テーマの続編(その2)です(予定)
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