学習の進んだ子供 part2

■ 算数・数学教育に関わる者(シャ)にとって,子供の伸びは大きな喜びです.

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■ また「学習の進んだ子供」の”才”との出会いも,感激・驚きです.

■ その際,”才”については,ややもすれば”テスト高得点”に目が奪われがちですが,子供の学校数学を超えた”理数センス”により関心を抱き,それらの見逃し・見落としがないようにしたいものです(自戒を込めて).

自由研究は「青天井」です

■ △△ピックや○○コンテストと異なり,自由研究は,正にテーマは自由ですから,正解があるかどうかも分かりません.既視感のある月並みな結論になることもしばしば.しかし,ゴールは 青天井 ですので,時に,目が覚めるような作品とも出会えます.

■ 算数・数学の自由研究コンクール(理数教育研究所主催)に応募した,O君(秋田大附中2年)の作品を紹介します.

 

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■ 本作品は残念ながら入賞まで届かなかったのですが,私どもシャにとって,「なるほど!」「いいとこ突くな~」「これはツカえるぞ」等々の思いが発せられると確信し,本人・保護者・学校の了解を得て,ここに取りあげるものです.

素数が無限あることの証明・・・通常の解釈

■ 素数がヒトビトを惹きつける魅力は今も昔(大昔)も変わりません.中でも「素数が無限にある」という主張は,結論がシンプルであることに加えて,その証明の仕方も「いかにも数学」らしく印象的です.

■ いくつかの証明法が知られています.歴史があり,かつ,有名なのがユークリッド(古代ギリシア人.紀元前3世紀頃)による証明です.

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■ 上記証明ではいくつかのpointがあります.

①(赤線部分)突然Pという数が登場します.そして,このPが素数であり,かつ,n個以外の新たな素数であることを示します.これは仮定に反するので,背理法によって,素数は有限個でない,つまり,無限個存在するということが証明がされたわけです.

しかし,どこかスッキリしない.「そうだろう」と言われると,仕方なく”妥協理解”する生徒・学生が結構います.

② この証明で,少なからずのヒトは,

赤線部分)Pは ”素数の積+1” という人工的な作りをしていることもあり,文句なく「素数であろう」と思い込んでいるヒトが少なくありません.これは,誤認です.→ もし,そうであるならば,式Pは,素数を次々に生成していくワケですから,証明自体が不要となります.

ところで,O君は,P=2・3・5・7・11・13+1=30031=59・509 という例を発見しました.

つまり,p1,p2,p3,・・・,p素数でも,p1p2p3・・・pn+1 が素数になるとは限らないのです.

④ すると,「Pは素数になる」というユークリッドの証明自体が成り立たなくなります.

そこで,O君は,以下のような解説を展開します.

素数が無限あることの証明・・・O君の解説

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「O君 解説」の 解説

■ O君ストーリーの背景を推測します.

① n=1,2,3・・・と具体の場合から(→つまり,帰納的に),証明の意味全体の理解&解釈をしようとしました.

P=p1p2p3・・・pn+1 ※1)について,n=5 までは,新たなる素数を次々作る素数生成式として位置づけた感じです.が,n=6,つまり,P=30031 が合成数(59×509) であることに気付き,引っかかりを持ちます(→ 定理の説明との食い違い)

③ そこで,巧みな分数式:(2・3・5・7・11・13)/i+1/i を活用して,59(or 509)は2~13 以外の素数であることを確認し,このように,Pが合成数となる場合は,より大きい素数が存在であろう(※2).

④ 以上のことから(※1) 式は,素数生成式となり,素数は無限に存在することになります.

残った課題と補足

■ 上記(※2部分の解説が30031の一例で終わっていますので,一般の場合の説明が必要です.→ 途中使用した巧みな分数式の適用でクリアできる気がします.

■ ユークリッドの証明方法についてですが,nは(O君が取り組んだような)帰納的に次第に増やすという発想ではなく,はるか彼方の大きな n(定数) という設定であり,そもそも否定される運命の有限仮定ですから,30031のような例外も出現します(→ 出現するのは,仮定が間違っているから!という,やや堂々巡りの感じもする論理ですね).つまり,P式が素数であるかどうかには触れず,「素数が有限個である」ことのみを仮定した背理法ということなのです.

 

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■ それゆえに,どこか,体をかわされたようなイメージの証明ではありませんか(背理法の宿命?). O君は,その曖昧な(嫌みな?)ところに,真正面から当たったという印象です.その視点と発想に脱帽ですね.特に,分数式の巧みさは,大いに参考になります.

■ 本テーマに関しては,背理法を使用しない証明法の紹介も含め 高校数学の美しい物語 で解説しています.

<補足>

■ 次回テーマは「細かいところが気になります」です(予定).昨今は,数学に限らず,面倒なコトは避ける傾向が強くなったと感じています.でも,数学では,コダワリを持つ参加者が一人でもいると,そのクラスなりのレベルがグッと上がる経験,ありませんか.

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