残念な”面積計算”

■ 小4で面積を習います. そして小~高と,面積・体積を求めること(→求積問題)は,算数数学における「花形」になっています.対象となる”相手”が図示されることもあり取り組みやすいのでしょう. 

■ たとえば,三角形の面積公式が,鈍角三角形でも通用することなどは,その不思議感から子どもたちの知的好奇心を高めています.

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■ そして,次々と難易度の上がる問いかけがなされ,中~大学入試でも中心的な存在となりました.結果,求積問題は日々の授業でもかなり重要視されております.

■ 高校数学では,曲線で囲まれた部分の面積について,そのideaと計算方法を積分で学びます.特に,空間図形の面積は,平面(2次元)に落として説明することが難しいこともあり,大学入試では手強い問題の代表となっています.

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■ 「面積って,この先もずっとやっていくの?」とは,ある生徒の質問です.確かに,図形は無数にあるわけですから,どこまで難しい問題に挑戦するのか(挑戦させられるのか),フト疑問を感じたのでしょう.

痛い指摘です.面積のが見えないのですね.

そんなに大切な領域だったら,大学ではどうなっているでしょう.さらに難しい面積問題を相手に学生たちは相変わらず苦闘しているのでしょうか.

■ 高校以上であれば,面積計算と積分は切り離すことは出来ません.その意味で積分に注目してみます.

大学で「面積を求めよ」は ほとんど見ない

■ 数学は,理工学のツール・基礎であることは言うまでもありません.しかし,実際に理工学の専門書を開くと・・・

■ 次は,理工系学部(電気電子)で使用されているテキストの一部です.

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■ 微分方程式が随所に登場し,その解を求めていますから,積分はフル稼働しています(積分記号 が見えませんが,積分計算過程を省いています).しかし,「面積を求める」という個所はどこにも見つかりません.

■ 数学専攻では解析学で重積分を用いて求積計算はします.しかし,数学全体では「一部」に過ぎません.また,昔風に言うところの一般教養で数学を選択した学生も,面積・体積計算は多少課せられる程度です.学生一般にとって「求積」はもはや縁がなく「高校までよくやらされたよね~」くらいのイメージかと.

いずれにしても,面積・体積は高校までほどの花形ではありません.すると・・・

結局,入試で出題されるから?

■ 極論になります.求積は,図示できることもあり出題の意図がわかりやすいのです.高校以下で面積計算力が重視されているのは,「入試頻出問題⇔ 教科書でも多く取り扱っている」という実態の反映であり,ある意味で「問題のための問題」になっています.

■ 「面積はこの先,どうなるのですか?」という疑問に対して「よくぞ言った!」と拍手したいくらいです.

もう一度,基本を見直してみる

■ なかなか「原点」を見つけるのに苦労しました.中1の教科書にかすかではありますが,極めて重要な説明個所を発見!

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                              (東書中1)

■ 長方形の面積=ab について,この面積値が距離を表します.

⇒ 面積:2次元の広さが,物理量として距離を示していること

距離 ⇒ 面積 ⇒ 積分

となるわけです.

■ 平均時速40kmの車が2時間走ると,40×2=80km 進みます.

このように,縦軸v:速さ,横軸t:時間 としてグラフ(vt図)で表すと,距離s=vt  となり,v:一定値のときは,長方形の面積s=走行距離数 となります.

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■ 速さvが曲線の場合も,同様の考え方から,区間時間内における面積は走行距離を表すことが分かります.この場合は,積分計算により面積=距離という物理量が測定できるワケです。

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■ 面積は「広さ」だけにとどまりません.

まずは,面積は距離という物理量をも示していることを機会あるごとに確認しましょう.

また,横軸をつねにxとすることにも疑問を感じます.理工学の多くの場合,横軸は時間軸です.つまり主変数をtとする機会がもっとあるべきと考えます.

■ 物理や理工学では,微積分が主役で,ほとんどは微分方程式を解くこと(それも実際は,近似値解)です.そこでは面積が顔を出す機会はまずありませんが,求積する際に用いた積分がフルに活動していますので,小中高で学んだ面積・体積計算と繋がっていることになります.

<補足>

■ 次回テーマは,「空間の理解」です(予定).空間認識力は2極化しているように思えて仕方ありません.わかるヒト・得意な子 ⇔ そうでない子 と.さてどうしましょうか.

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