整数方程式の”源流”

整数方程式 5x-13y=1 などは,ごくありふれた問題で,解くことも「楽勝」でしょうが,少し立ち止まってみましょう.

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Q1 整数方程式 5x-13y=1 を解いてください.

x,yなど未知数が2個の場合,通常,方程式は2本必須です.しかし「x,yは整数である」という条件が付くと,式の本数が1本でも解が求まることがあります(解がないときも.後述).

A1 次は,定石による解法です.

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整数方程式が解けた!でジ・エンドですか?

■ 解を振り返ってみます.

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■ x=8, y=3 を解(の一つ)として見つけ,唐突に(※)①ー を計算します.この操作の背景にはどのような思考があるのでしょう.

整数方程式「定石」のココロ

■ 整数方程式 5x-13y=1 の解は,直線L: y=5/13x-1/13 上で, x,y ともに整数となる点P(x,y)で表示されます.⇒ 点Pを座標面における格子点と言います(ふすまの格子のイメージ).

次は,直線Lのグラフですが,解となる格子点が見つかりますか(マスの1辺が2の長さなので見づらいかも)?     

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■ 点(8,3)や(-5,-2) など,確認できますか.

ところで,解答 A1 で,突然,①-② を計算しました.どんな意味のある操作だったのでしょうか.

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■ 何のことはない,相似比一定の性質(小6で登場)を導いているワケです.

起点となる点Pを適当に一つ定めて,その後は,x軸方向に13,y軸方向に5 ずつ進める(後退も可)と,整数方程式 5x-13y=1 の解が次々と求められます.

■ 式操作①-② は,相似比一定を登場させるためのgood idea, いや, good job なのです.

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互いに素:決定的条件

■ ”整数”にかかわると,よく 互いに素 という注釈がつきまといますね.実は,コレ,決定的条件になっていることがほとんどです.

Q2 先述の解説で「起点となる点Pを適当に一つ定めて,その後は,x軸方向に13,y軸方向に5 ずつ進めると・・・」ありますが,たとえば,2点(8.3), (21,8)を結ぶ直線上に,他の格子点はないのでしょうか.

A2 13と5 は,互いに素 ですから,直線上に他の格子点は存在しません.ワケは次のとおり.

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’22共通テストの整数方程式問題・・・・疑問?です

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(以下,略) 

私見です.

■ (1)までは,係数に指数を用いた整数方程式ということで,少し興味がひかれましたが,次の(2)から「整数方程式はどこへ行ったのか?」と思うくらい力点がズレていきました.

■ 限られた時間の中で,マークシート特有の「作問者ideaストーリー」の把握・理解に努めつつ,その単純計算量には閉口しました(計算器使用不可).

■ 本問は,示された指数係数の場合に,整数解がタマタマ求められた例であって,一般形に発展するような価値あるideaに基づく出題だったのでしょうか?

■ 数ⅠAの全国平均値38点未満(※)ということでしたが,さもありなんです.作問主メンバーは,他の大問も含め,全体を制限時間内で解いたのでしょうか?

※の結果 ⇒ マーク式宿命の偶然正解率(4択なら25%)と平均値がこれほど接近してしまうと,受験生の学力を適切に把握できませんね(努力して力を付けたヒトとそうでないヒトが同じ扱い!).

■ 杞憂でしょうが,次年度以降,極端な「易化」に振れないよう,願います.思うに,マーク式で,記述式を上まわるような中身にするのは,仕組みからしてムリです(どうしてもゴールへの誘導が強くなるので).学習の到達度を把握するための,「足切り的な役割」でもよいのでは.

<補足>

■ 整数方程式には,「解なし」もあります.4x+6y=3 などがその例です.

■ 次回のテーマは,「どっちが大きい?」です(予定).大小比較は,数学の原点ではないかと思います.

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