テストにメッセージを!

■ テストの定義はさておき,日常のテスト~入試まで,およそテストと呼ばれるその時間内における受験者の集中力は凄いモノです.

09 20201219テスト作問1

■ よく大人が言います.

「私が今,○○校を受けたら,受からなかった」.

これは,入試の内容より,立ちふさがる壁に挑戦したときの,自らの若さや情熱,そして集中力も含めての述懐ではないでしょうか.

■ このように,持てる能力をフル回転して集中して問題に取り組んでいるワケですから,そのを次に活かさない手はないです.

何かを発見する・気付くテスト

Q1  次を計算しなさい.

  5-(-3)2

■ 「基本の基」問題で,高校入試の大問1(1)あたりでよく登場します.「0点は採らせたくない」「0点は困る」・・・こうした高校側の”本音”を踏まえた出題と理解できます.しかし,それでも本問を間違う受験生が数%はいるでしょう.”カッコの位置で計算手順が異なる”といった数学ルールが苦手というヒトも.

そこで,次のように手を加えてみました.

Q1改 次の①,②を計算しなさい.

 ① 5-(-3)2   ② 5ー(-32

■ 数学ルールが苦手なヒトが,テストで①と②と向き合ったとします.

「同じ問題が並ぶわけはない.違いはどこだ・・・カッコか.どっちかが9だ.①かな,いや②か?」

■ この迷いがテスト終了後のステップにつながります.Q1ですと,そこが見えません.

Q1改は,後に結果を分析する側にとっても,意義ある出題となっています.

■ Q1改からは,分かってほしい.これを機会にしっかりくれよ~という出題側の思い・願い,そして具体の創意工夫が感じられませんか?

作問にあたっては,高校入試の大問1(1)レベルの問題を「軽視」してはいけません.メッセージを入れるべきです.

この視点から国研が作成した全国学力学習状況調査問題(学テ)を見てみます.算数A(小6)です(平成20年4 月). 

 

090 20201223作問3

■ 「テープがテープの半分である」ことを数で言いましょう,という内容で,小6生には失礼かな?とも思えたのですが,ナントナント,正答率は56%でした.

■ 全国の約半数近くの小学生は,分数や小数について,単純計算はともかく,そもそも(概念)がしっかりしていない事実は極めて深刻です.自分が子供の保護者だったら不安になります.

■ 数の基本概念があいまいですと,将来,ヒトを欺すことはともかく,ヒトに欺されることはあり得ると考えます.

学テ問題からのメッセージ

■ 本問が発するメッセージを考えましょう.

・(1)で,整数倍はOKですね,と確認

・その上で(2)で整数倍にはならない例を示し,小数や分数の必要性を再認識させながら問いかけている

■ 推測ですが,(2)を誤答した小6生の多くは,正解の 6÷12=0.5 を知り「エッ!それだけのことなの」と逆にショックを受けたのでは?と思います.単純計算は出来たとしても,肝心の数の概念理解&その表記は別モノです.

■ プロ中のプロが作成している全国学力学習状況調査は結果はもちろん,問題自体も活用しなければなりません.その際,活用とは=改善 であることを肝に銘じましょう.

・小6生は4月調査実施後,中学入学まで半年以上あります.分数と小数理解は必須です.理解定着を見届けて中学校に送りましょう.小6段階で分数があいまいであったヒトが,中学・高校,大学も含め「後に分かる」ことはまず期待できません.

学テを学力保証として捉えるとき,実施直前の暗記などでは対応できない基礎概念の定着については,「調査実施の前でも後でもよいから,とにかくしっかり頼みますよ」というのが保護者の願いだと考えます.

→ ちまたでよく話題に上がる.”実施直前の学テ対策”云々議論は,学力保証という視点が抜け落ちています.

・本問を参考にして,普段の諸テストの在り方も見直しましょう.作り手のメッセージが感じられる作問を!

 

計算だけがテストではない

■ マークシート式の共通一次テスト導入して40数年経過しました.私見ですが,マーク式の弊害は徐々に表れつつあります.

→ この件については,後日,話題に挙げます.

■ 今日,プロセスより答え重視の風潮が列島をすっかりと覆ってしまいました.そして,日常テストも含め,テスト=計算 という色彩が強すぎると感じます.確かに,採点の作業量を考えない出題は現実的はありませんが,それにしても,です.

■ 授業改善には,テスト改善も必須です.ときには,テスト改善を先にしてもよいのでは?

Q2 (出題例)

090 20201224作問4
09 20201214題意3

■ (1)は,順列・組み合わせの意味理解チェックがねらいです.その確認をせずに即,(2)に向かわせるのは,教員自らpointを外しているに等しいのです.

■ 算数・数学のそもそもは,「大小比較」であり,数が誕生する以前のこと.食物をめぐる死活問題と直結したでしょうから.その意味で,(1)として,シンプルに「①と②どちらの選び方が多いですか.理由も述べなさい」とすることも意義ありですね.

<補足>

■ 次回テーマは「公式の御利益」(仮題)です.算数・数学と公式は一体です.一方で,公式と聞くだけでゾォーとするヒトもいます.

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