「いかにして問題を解くか」(Polya)に学ぶ
近年,数学教育を巡る議論のテーマは,①授業形態,②入試問題攻略 に大別されているように感じます.

■ ①はあの中教審答申「協働的な学び」に端を発しています.理念はともかく,話し合いの具体場面では,グループ学習の紹介等の授業形態論議で終始していませんか?
■ ②は今も昔も変わらない”需要”があってこそですが,昨今は学びの中身より,合格者数誇示と個別指導の強調(マンツーマンなど)が目立ちますね.
名物講師のレクチャーにヒトが集まった時代がなつかしい・・・名講義の中身が注目され,高大接続の在り方にも寄与していましたね.少なくとも講義形態の是非論ではありませんでした.
■ そこで数学教育の原点を確認すべく,最初に思い浮かべたのが名著「いかにして問題を解くか」(Polya)です.

■ 実際は「70年以上」世界中で読み継がれています.ある識者は
「その魅力は,単に問題を解くためのテクニックを羅列するのではなく,問題解決に必要な「思考の習慣」を身につけることに重点を置いている点にあります」
と述べております(noteより).
Polyaからの出題例
Q 一定速度で直進する2隻の船の,ある時刻での,速さと位置を与えて,それらがいちばん近くなるときの距離を求めてください.

■ 図は,点A,Bを同時に出発した2隻の船の,ある時刻tにおける位置が,それぞれ点P,Qであることを示しています.ここで,PQ間の距離dの最小値を求めよ,というのが題意です.
⇒ 楽勝!PとQが交差したときだろう.つまり,d=0 だ.
⇒ 交差,つまり,2隻の船の衝突ですね.その可能性はありますが,よほど速さと向きを調整しないと・・・通常は,すれ違いでしょうね.
■ 点P,Qがどちらかが固定されていればよいのですが,2点とも動くので直感も働きにくいです.
Polya は「唸(うな)ってしまう」ような思考で解決の術を紹介しています.手始めにやぼったい方法になりますが,「計算腕力」で進めてみます.
A1 具体の数値を当てはめて考えてみます.座標平面においてAを原点,Bを(1,5) ,また,動点P,Qの初期座標(⇒時刻:tとして t=1に対応)をそれぞれ(3,0),(2,4) とします(⇒ AP:BQ=3:√2 より,P の動く速さはQのそれより3/√2≓2.1倍大きい).


したがって,t=7/5(=1.4)のとき,最小距離:d=9/√5≓4.03 となります.
A2 ポリアの考えを元にした解説は以下のとおりです.※原文(翻訳)でややわかりにくいと思われる箇所は加筆(ベクトルの使用等)しました.



※ 図ではP’を求める際,「ベクトルの和」を用いたが,Polyaの原文(翻訳)では平行四辺形の作図によってP’を求めている.ベクトル和の方が自然と考えている.
以上のことから,作図の実際は
① 直線g(AP’)を引く
② 点Bからgに垂線を引き,垂線の足をHとする
③ 線分BHの長さが求める最短距離である
Polyaの解を作図でナットク
■ A1 で,d=BH≓4.03 と最短距離を求めました.ここで
論理展開は”まぁナットク”したが,どうもスッキリしないっていうヒト,いませんか?10人中,数人はいるかと見ています.
こういうときこそ作業学習に挑戦してみましょう.多少の時間はとりますが,将来に活きる「投資」になると確信します.

<補足>
■ 次回テーマは「改めてマークシート方式の”罪”を確認する」(予定)です.「思考」の価値を,「点を稼ぐ」に置き換えた主犯は,約半世紀にわたるマークシート方式の導入・定着だったと確信しています.
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