“カタチだけ”協議 ⇒ 学力低下↓
現在,学校(特に公立)では,学習指導要領の基本理念である「主体的・対話的で深い学び」を実現するべく,その手段として「個別最適・協働的学び」を推し進めています.

■ そして「協働的な学び」の多く(ほとんど)は,”協議”というグループ協議(学習)のカタチをとっています.
■ 先日,市後援のある市民会議に出席しました.そこでも全体時間の半分近く(25分程度)を少人数グループ”協議”に当てており,”協議”の浸透度は学校以外でもかなり進んでいるようです.
協議がメインの授業
■ かつてよく見られた教師による一方通行授業は”ほぼ全面否定“され,化石化しています.
次は現在の標準的授業展開パターンの例です.
Ⅰ ①導入(課題提示)→ ②展開(自力解決・グループ学習)→ ③まとめ
さらに構造化したケースもあります(地域による).
Ⅱ ①めあて提示 → ②課題提示 → ③個別対応 → ④グループ学習 → ⑤各グループの報告・発表 → ⑥まとめ → ⑦振り返り(用紙提出が多い)
①~③(or⑦)まで,1授業時間内(45~50分)に全て盛り込もうとしたり,また,タブレットの効果的活用の要請などもあって,指導者(特に,公立学校)の心労は結構なものとお察しします.
授業パターンで気になる点
■ 上記パターン設定強調による弊害もあります.教材の中身よりも,まず「パターン堅持・カタチありき」のプレッシャーがあるように感じます(教員養成系の学生も含め).
⇒ 「学ぶは真似ぶから」という教えもあり「まずカタチから入る」ということでしょうが,ここは冷静になりたいものです.

■ 特に気になるのは,上記①めあて提示 です.
学習指導要領では・・・各教科の目標,到達すべき資質・能力が明示され
同要領解説等では・・・めあて設定の重要性・必要性が強調されている
⇒ つまり,めあての重要性は明示しているが「冒頭で」とは述べていません.考えてみればこれは当然のこと
⇒ 伝達講習の○○主任会議や資格受験研修会等の場合は前置きは不要.即,本日の研修項目(めあて)を列挙して,直ちに指示伝達活動に入るでしょう
⇒ しかし,教室に集まる児童生徒らはどうか.○○主任会議のメンバーのように全員が「目的」的に集っているでしょうか?そうではないのがフツーですね.彼らは、家庭環境や学業のこと,学校での友人関係,部活動における役割etc,さまざまな「背景・事情」をもって教室に入っています.
■ 舞台演劇や落語・漫才,諸講演会などは,その幕開き(導入)で勝負が決まる!と言っても過言ではありません.導入でつまづくとそのリカバリーはえらい大変.授業も同じです.導入には神経を遣わねばなりません.
⇒ そのような中,授業冒頭で「ハイ,今日のめあては○・・・△です」.さらには続けて「このめあてをノートに書いてください」などと発する光景と出会った際には先が見えてしまい気が滅入ります
⇒ これは,めあてのお経化現象と言うべき!
・・・・・
協議”したくなる”ような空気醸成が必要!

■ たとえば指数の導入(中1数学)
例1
「ハイ,スクリーンを見てください.今日のめあては”同じ数のかけ算の表し方を学ぼう”です.プリントにも記入しましょう」
⇒ 推理小説で言えば本文の始めで「犯人は{a,b,c} の中にいます」と述べるの同じ.ため息が出ます.
例2
①(教卓の上で)「これはA4の用紙です.今,1回半分に折りました」
②「続けてもう1回折ります」
③(Q1)「2回折ったところで,A4に戻してみるよ.A4の用紙は折れ目でいくつのブロック(長方形)に分かれたかな?」
④「そう,田の字のように4ブロックだね」
⑤「今,私はどんな問題を出そうとしているか,ココロが読める?」

→ 「回数を増やして,たとえば5回折ったときのブロック数を求めなさいとか」
⑥「やられた.そのとおり.ただ,その前にやってほしいことがあるんです」(全員にA4用紙を配布)
⑦(Q2)「今現在は2回折ったのですが.みんな何回までなら折れそうかな?紙は薄いから力あるヒトが有利だって?まだ始めちゃダメだよ.ゴーサインを出してから」
⑧「では折ることのできる回数を予想してください」(挙手をさせる)
{4回以下,5回,6回,7回,8回,9回,10回以上}
⇒ ※本発問は,学習の進んだ子どももそうでない子も,全員,同じスタート位置に立たせる意味があります(皆,それぞれ考えるでしょうから).発問の吟味は教材研究の柱の一つです.
⑨「ずい分とバラついたね.8回が一番多いようですね.では折り方,はじめ!」
・・・・・・・・
⑩「どうだった.どうやら6回が最高のようだね.7回以上はムリか.紙は薄いはずだけど厚みもあるんだね」
⑪(Q3)「折り回数7回のときのブロック数を求めてみましょう.ただし,折ることはムリだったので,考え・ideaが必要だよ」
<以下の進め方(概略)>・・・状況を見てグループ学習も取り入れる
折り回数 ブロック数
〃 1 2
〃 2 4(↤ 2×2)
〃 3 8(↤ 4×2=2×2×2)
・・・・・
・折り回数4,5,6回のときのブロック数を順に求める(ここまではA4用紙の折れ方から実際に数えても求められる)
・折り回数6と7のときの,ブロック数の関係について思考を深める. 個別対応,グループ学習のどちらでも可.
⇒ その際,2,4,8,16, 32・・・の変化から128を帰納的に求めること(①)が多いと予想されるが.
(7回ブロック数)=(6回ブロック数)×2 の関係に気付くかどうかが評価の分かれ目
つまり(折る操作)=(各ブロックを2つに分割)という仕組み(②)の理解&ナットクに価値を置くべし
これは,将来の学び:隣接項間の関係式 f(n)=2・f(n) につながる発想です

⇒ ①と②からの結果は同じ128であったとしても,思考のレベルに大きな差がある.
したがって
「いろいろな求め方があるね」という
あれもよし・これもよし
という”全員平等評価”で終わってはいけません.
⇒ ①②のように思考の深さ・違いがある場合,「皆同時ゴールの運動会」のような扱いを日常的にしていると,結局,数学リーダー自身への敬意が失われていきます
・128=2×2×2×2×2×2×2 右辺は長いので,2の7乗といい,2⁷ と書くルールを説明(7を指数という)
・3⁴ と 4³ の違い確認,1000000や100000000の指数表示の確認,2の10乗=1024 の確認
<授業のまとめ>
「今日のめあては
”同じ数のかけ算を新ルール(指数)で表し,大きな数を指数で書こう”
した.プリントにも記入してください」
「○○さん,△○さん,自分の今日の振り返りを紹介してください」
⇒ めあては,このように,授業の最後で紹介・確認してもよいワケです.
■ 推理小説にも,①最後の最後に真犯人が判明するタイプもあれば,②最初に読者に犯人を知らせておき,追い詰められていくタイプ,③それらの融合タイプ などがあります.すべてが②タイプだったらどうでしょう?おかしいし,そもそも売れません.
したがって,画一的な「めあて冒頭確認」式の授業展開のおかしさ(非科学性)は早急にカイゼンを図る必要があります.このママでは,日々の授業において,知的好奇心の喚起から遠のくカタチ優先展開となり,結局,学力低下に直結すること大いにアリです.
<補足>
■ 昨今「数学研究会=授業展開パターンの研究」と錯覚してしまう公開研究発表を見かけます(⇒ 数学でなくとも理科や社会で置き換えても通じる内容).
■ 次回テーマは「こういう”協議”であってほしい!」(予定)です.今回の続編になります.
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