循環論法・・・悩み出すとキリがない?
循環論法・・・漢字も難しく,見るからに理屈っぽい内容.受験を控えた高校生はもちろん,数学教育系学生もあまり興味を示さないテーマでしょう
⇒ 高校生:「どうせ入試には出題されない」,大学生:「協働的な学びのテーマになじまない」

■ 循環論法とは・・・ある結論を証明する際に,その結論自体を前提として用いる論理の誤りをいいます.
例:「日本国憲法は最高法規である.なぜなら日本国憲法第10章第98条に最高法規であると記載されているから」(参考 AI回答).
■ 上記の日本国憲法の解説は,「堂々巡り」であり,数学の世界では認められない論理で,循環論法になっています.
■ 同じような例を数学で探してみましょう.

■ ある高校生が,中学校数学で学んだ「円において,直径に対する円周角は90°である」ことを次のように証明しました.
<証明>

Q 上記<証明>について疑問点もしくは誤りを述べてください.
A 正弦定理の証明は概略,次のとおりです.

※で中学数学「直径の円周角は90°である」を明示(引用)しており,その箇所は,証明の核心部分です.
このように,正弦定理を用いて「直径の円周角は90°である」を主張することは,論理の堂々巡り,すなわち,循環論法ということです.
もう一例あげます.
教科書にも堂々と載る循環論法


<何が問題なのか>
上記①は,sinθ<弦AB<弧AB(=θ) で説明がつきます.
②はどうですか? 図から弧AB(=θ) <tanθ と見えますが,その根拠を示す必要があります.
⇒ よくやる手:面積比較を用います.
扇形OAB<直角三角形OAT は必ず成り立ちます.

⇒ 実際に,置換積分を計算すると,sinθやcosθ等々をフル活用します.
※ この置換積分で以て「円面積公式 πr2 の証明とする」という文脈ではないようです.実際は,1例題の一つという扱いで,「円の面積公式を改めて確認してみる」くらいのスタンスのようです.そうなると,円の面積公式本体は,小中高を通して,いつ何学年でやったことになるのでしょうか?
⇒ 三角関数の微分積分では,上述した最重要定理 「θ→0 のとき,sinθ/θ→1」を用いている
例えば,(sinθ)’=cosθ の証明には最重要定理が必須であり,積分は逆微分なのでやはり同定理は当然必須
⇒ 全体をトータルで見たとき,循環論法と指摘される状況にあります
<マトメ>
最重要定理を用いないベツ証明の構築で循環論法を克服できそうですが,高校数学の範疇(レベル)外とも言えるので,現行の対応で「お茶を濁している」感じがします.
※(参考YouTube) 「予備校2.0」さんの「脱・循環論法」は 歯切れよい解説が見事です.
<補足>
■ 冒頭でボヤキましたが,循環論法などしつこく追究することは,思考力アップにつながります.
しかし,なぜ「ワカモノ」は興味関心を示さないか?
⇒ 主因:入試に出題されないから
なぜ入試に出題されないか?
⇒ マークシート方式になじまず,記述の場合でも採点が大変
結果,ワカモノ一般の思考力は昭和時代の方が「上」だと判断します.
■ 次回テーマは「中学生もわかる不定方程式(第2弾)」(予定)です.
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高校数学なので条件付きですが、循環論法は無いと思います。
条件として、「円周の長さ」は存在するものと仮定する。更に、円に内接する正多角形と外接する正多角形の面積を考えることにする。半径 r の円を考える。何段階かに分けて話をします。ここでは、弧度法は使わず角度を用いる。
第1段階。中心角 360°/n で円周を n 等分割して折れ線近似を行う(高校の話なので等分割)。二辺の長さが共に r の二等辺三角形の底辺の長さの半分は
r・sin(180°/n)
なので、この二等辺三角形の底辺の長さは
2r・sin(180°/n)
である。この底辺の長さは、円周を n 等分したときの弦の長さである。
すると、円周の折れ線近似は
n・2r・sin(180°/n)=2r・n・sin(180°/n)
になる。この折れ線近似で n→∞ としたときに極限が円周の長さになる。今、「円周の長さ」は存在すると仮定しているので、この極限は存在し、極限値は「円周の長さ」になる。即ち
2r・n・sin(180°/n) → 円周の長さ 2πr (n→∞)
となる。特に
n・sin(180°/n) → 円周率 π (n→∞)
がいえた。第1段階終了。
(続く)
昨日(2026年1月21日 16:25)の続き
第2段階。面積を考える。円に内接する正 n 角形の面積を考える。これは、頂角 360°/n で二辺の長さが共に r の二等辺三角形の和になる。この二等辺三角形の底辺の長さは
2r・sin(180°/n)
であった。高さは、r・cos(180°/n) なので、三角形の面積は
r・cos(180°/n)・2r・sin(180°/n) ÷2 = ( r^2 )・cos(180°/n)・sin(180°/n)
で、内接正 n 角形の面積は、n 倍して
( r^2 )・cos(180°/n)・n・sin(180°/n)
になる。第2段階終。
第3段階。次に、円に外接する正 n 角形の面積を考える。これは、頂角 360°/n で高さが r の二等辺三角形の和になる。このような二等辺三角形の底辺の長さは
2r・tan(180°/n)=2r・sin(180°/n)・sec(180°/n)
である。ここで、sec は正割で、cos の逆数である。三角形の面積は
( r^2 )・sec(180°/n)・sin(180°/n)
で、外接正 n 角形の面積は、n 倍して
( r^2 )・sec(180°/n)・n・sin(180°/n)
になる。第3段階終。
(続く)
第4段階。円の面積を求めるための内側からの和と外側からの和が揃った。 n→∞ としたとき、n・sin(180°/n) が円周率 πに近づくので、内面積と外面積は共に r^2 ・1・π = r^2 ・π に近づく。cos と sec は共に 1 に近づくことに注意する。故に、円の面積は確定し、 r^2 ・π である。第4段階終。
以上のようにすれば、(少し逸脱するかもしれませんが)ほぼ高校数学の範囲内で循環が避けられると思います。しかも、等分割ですが
(折れ線近似の極限として)「円周の長さ」が存在する
ならば
(正多角形近似の極限として))「円の面積」が存在してそういう値になる
事もいえました。円の面積が
半径×半径×円周率
だと考えてはいけない。三角形の面積 底辺×高さ÷2 と同じく
円周の長さ×半径÷2
と考えるのが正解です。
扇形の面積は、比例配分すれば良いでしょう。
文部省は昔から教科書検定をしています。検定を受けた教科書にあからさまな循環論法があるというのは、非常に考えにくい事象です。そもそも、面積は「求積法」で求めるのであって「積分」で求めるのではありません。「積分」は「求積法」の計算手段です。
ついでに、お聞きしますが
(参考YouTube) 「予備校2.0」さんの「脱・循環論法」は、題名が
【17-8】sinθ/θ の極限と「循環論法」について!
で、URLは
https://www.youtube.com/watch?v=0ZOnzW-p7mY
ですか?
文部省 様(以下,文部様)
貴重なコメント,ありがとうございます.
新年早々,ピリッとした思いをいたしたところです.
(1)今現在の感想
・blog内の「教科書にも堂々と載る循環論法」という見出しは,適切とは言えない表現でした(特に「堂々と」).
・文部様の「・・・循環論法は無いと思います」の結論に,やはり疑問を「いだいてしまう」心境にあります.以下,理由を述べます.
(2)小~高の教科書から
・今回blogテーマ議論の中心部分は「円の面積(公式)」です.そこで,教科書だけでなく日常生活でも使用される円面積公式が,いつ,どのように取上げられ扱われてきたか,を振り返ってみます.
・手元にある(数年前の版)教科書を調べたところ,
①小6算数(啓林館)では,円を扇形の集まりとして見て,数多くの扇形に分割する.そして各扇形を底辺を上下交互に一列に並べ,長方形状に集めることで,その1辺(半径でない方)の長さが円周の半分になることがわかる.よって,扇形をさらに細かくしていくと,長方形の面積→円の面積=r×(1/2×直径×円周率)=r^2×円周率 が導かれる.(「分析と総合」という数学的思考の一例.正96角形を描いて円周率の近似値を求めたアルキメデスの方法など.区分求積法も含む)
※円周=直径×円周率 は小5で習う
②中1~3数学,高1,2数学 では円の面積公式として頻繁に登場し,入試問題では主役の一つとして活用されるが,公式自体への言及は見られない.
③数Ⅲで,定積分の応用として円や楕円の面積が導かれている.
以上,円の面積公式について振り返りますと,小6算数で「こうなるであろう」という見通しをベースに,いつしか「S=π(パイ)r^2」が正式公式としてすっかり定着し,実際に活用されています.その際,「詳しくは高校数学でキチンと習うから・・・」という注釈を受けたヒトはかなり少ないと想像します.一般的に子どもの発達段階を考えると仕方ないかも知れませんが,残念に感じます.
(3) 疑問・腑に落ちない箇所
文部様の解説で,第1段階:「・・・円周の折れ線近似は,n・2r・sin(180°/n)①となり,・・・ n→∞ としたときに極限が円周の長さになる」とあります.← ここが論の核心部分かと.
そこで,180°/n=θとおき,また,180°=π(パイ) とすると,①=n・2r・sin(180°/n)=2r・π/θ・sinθ=2πr×(sinθ)/θ ② となります.
「n→∞ ⇔ θ→0 」ですから,②は,θ→0 のときの (sinθ)/θ の極限値を求める内容であり,結局,「堂々巡り」「振り出しに戻った」ということになりませんか?
(4) 現時点でのまとめ
・文部様の主旨を踏まえ
① 円周の長さの確認・・・円周というのがあるとすれば,その値は,2πr になる(せざるを得ない)
② 円の面積の確認・・・「円の面積を求めるための内側からの和と外側からの和」で攻めるという発想を基にして,具体には,“扇形による無限分割の和の行き着く先の値(極限値)をもって円の面積とする”
以上の「合意」を以て,小中高数学における円の面積公式証明の「了承」「ナットク」とする(もちろん,児童生徒の学習歴や興味関心の程度に応じて適切な解説をすることは当然).
(5)その他
①文部様が触れたように,
「”円周の長さ”は存在するものと仮定する」「円周の長さ×半径÷2と考えるのが正解です」といった論述の仕方や思考に賛同します.数学を学ぶ,あるいは数学を教授する根本姿勢と考えます.
昨今,授業や研究会では「個別最適・協働的学び」は声高に叫ばれていますが,さてその内実は根本姿勢から見てどうでしょうか?
②文部様の「そもそも面積は『求積法』で求めるのであって『積分』で求めるのではありません」との指摘にまったく同感です.
かつて教科書(高数Ⅲ)では,積分は区分求積法から始めています(清水書院等).しかし,いつの頃からか(昭和の終わり頃?),区分求積法を後回し・脇役にして,不定積分を最初に定義し,その次に定積分をかなり無理して導入・解説してきた経緯があります(教科書編成上の指示があったか,あるいは,ページ数削減のため).→ 結果,「定」の前に「不定」を説明するという滑稽かつ珍現象が起き,現在もその延長上にあります.
⇒ 不定積分と定積分は本来ベツモノですが,∫記号が共通していることから,何も考えることなく計算だけは可能.これで生徒も教師も「安堵」している光景は今日でもあちこちで見られます.
⇒ ∫記号はΣを,dx記号はΔxを,それぞれ源としています.区分求積法をタイミングよく扱うことで,すぐれた記号の歴史も押さえることができるのに残念です.
⇒ もし,区分求積法の思考なりideaが十分浸透している前提であれば,本blogの「循環論法」も展開が変わったと考えます.
③なお,「予備校2.0」さんの「脱・循環論法」については,御案内の通りです.
コメント,ありがとうございました.
今後,この種のテーマに関心のある皆様の感想・意見・解釈をお伺いできれば幸いです.
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