今さら極限値ですが…

極限値ですが,計算は難しくありません.ただ「計算できるけど.知らんけど」という向きが多いのでは.

■ 教科書における極限値定義はおおよそ次のようです.

09 20230120極限値1

極限値定義の押さえどころ:3つ

09 20230121極限値3

■ この例をみると,実にカンタンで,要するに,xに3を代入すればよいのだとなりますね.

■ 結果的にはそれでokなのですが,定義を甘くみてはいけません.

■ 定義のpointは3つです.

xはaにいくらでも近づく.しかし,aには到達しない

⇒ xがaとなった瞬間を不問(棚上げ)としたワケです

一定の値b とは,有限確定値:b という意味 

⇒ したがって,bが∞や±1(振動)となるときは,bは極限ではない

 また,b=f(a) とあえてしていない点も注意(①より,x=aは除外されているから)

③④ 波線箇所

09 20230122極限値4

x=a が除外されているにもかかわらず,有限確定値bが求まれば,極限値bが存在するとしてを用いる.

⇒ つまり,「いくらでもbに近づく」というプロセス保証がなされれば,b とする大胆な決め方となります.2+3=5 の=との違いがありますね.

同趣旨例:s=0.99999…  という級数は,いくらでも1に近づきます.

    よって,0.99999… 1  です(とします).

極限計算のそもそも

■ 極限の定義の解説後,即,前述のような実にカンタンな計算例から始まり,安心しているといかにも入試問題というレベルへと進みます.

09 20230123極限値5

つまり,何のための極限だったのかという根本はどこかに追いやられ,問題のための問題が続く・・・こういう現状,ありそうですね.

微積分の歴史を踏まえて…などと大仰な構えはしませんが,教科書で振り返りましょう.

09 20230120極限値2

■ 上図のように,

平均の速さ(小6)⇒ 変化の割合(中3)⇒ 平均変化率・接線の傾き(高2)

と段取りを踏みます.

接線の傾きを求めるときに極限の概念を用いた(絞り出した)ワケです.

具体的には上図で

$x→a のとき,\frac{f(x)-f(a)}{x-a}\ (※)がどういう$

$値になっていくか(どんな値にすべきか)? $

x=a の瞬間における※式の値を求めたい

しかし,単純に代入すると,※式は,0/0 という結果になり,計算としては挫折します → “不定” とか “解なし” etc

計算はできるが,中身は知らん!」をどう防ぐ

■ f(x)が連続関数の場合,極限値計算は,「xを限りなくaに近づけた結果」と「 x=aとして代入した結果」と一致します(例:x→2 のとき,x³→8 )

この事実は「ごく自然・ごく当然」であり,多くの学習者に「当たり前感」が残りますが,学びとしては残念です.⇒ 「計算はできるが,中身は知らん」の原点

したがって,※のような不連続関数と向き合わざるを得ない接線の傾き(微分係数)をどう求めるか(どう定義するか)を徹底して問いかけ続ける必要があります.

次は,バカていねいに接線の傾きを求めた例です.

09 20230126極限値6

<補足>

■ 次回のテーマは「学習の進んだ子ども(その3)…1から1000まで書き続けた小1生」の続編です(予定).

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