マグニチュードはわかりにくい
今年だけでも正月早々能登半島地震に見舞われ,わが国は地震大国であることをつくづくナットクさせられる昨今です.ところで,地震の大きさを示すマグニチュードですが,生活に関する数値の中でもそのわかりにくさは横綱クラスではありませんか.
■ 四半世紀前,気圧の単位がミリバールからヘクトパスカル(hPa)に変更なりました.理由は国際単位系に合わせたということです.
このhPaも評判は決してよろしいものではなく,ヒト一般への浸透度は高くはないと思われます.ただ台風や熱中症対策としてhPa数値の大小がヒトの行動判断に影響は与えています.
しかし,マグニチュードはいけません.耳にはしているが,あれって何?という感じです.
マグニチュードは「不評」
■ 地震とその数値表示⇒
①地下で生ずる急激な破壊現象(大きさをマグニチュードで表す.以下M)
②その結果としての地面のゆれ(震度で表す.震度5強など)
■ 多くの学者や識者も指摘していますが,上記①②の区別がつかないヒトがほとんどで,実際,地震と言えば,地震 ≓ ②の震度 と受けとめられている現状です.
マグニチュードが浸透しないワケ
Ⅰ 報道のされ方
■ 過日の四国における地震の報道です.
震源地:豊後水道,M:6.6,震度:6弱
二つの重要数値がただ並べて表示されます
⇒ 意味知りたければご自分でドーゾ!という印象です.
Ⅱ 「自分に直接関係すること」が第一義という原理原則
■ マグニチュードMは地震の規模,震度は観測地点でのゆれの大きさを表します.
つまり,
① Mは一定値
② 震度はところにより変わる
(一般的には震源地から離れるほど小さくなるようですが,例外もあるとのこと)
⇒ この際,ヒトは地震の規模もさることながら,まず,自身・家庭・職場・地域等々が,この「ゆれ」でどのくらい被害を受けたか,余震はどの程度ありそうか,等に全神経が向かいます.つまり,震度が第一で,地震の規模(マグニチュード)は二の次なのです.
Ⅲ マグニチュードの数値目盛りが独特(フツーでない)
■ ここで言う「フツー」の意味は,①数値目盛りが極端に小さくない(or大きくない),②数値と意味する結果におおよそ比例関係がある 等々です.
マグニチュードは①②ともに当てはまりません.
例 A地震:M1=1.5, B地震:M2=2.5, C地震:M3=3.5 とします.
⇒ このとき,B地震はA地震の約32倍,C地震はA地震の1000倍の規模になっています.
このような解釈がサラリと続くと,マグニチュードの理解者・支持者は増えませんね.
※ 角を表す単位は60分法と弧度法があります.1弧度≓57.3°,2弧度≓114.6° です.日常数理としては弧度の数値は粗すぎて扱いにくい(1.3弧度などと言われても角のイメージ湧きますか?).比例関係にはあるのでマグニチュードよりはマシです.
マグニチュードの式自体もフツーではない
■ マグニチュードMを表す式ですが,ズバリ
M=・・・
と明記したいところですが,一説によると40種類以上の式があるとのことです(wikipedia).
ある地震が起きたとき,上記40種類以上の中から適当な式を選び,求められたマグニチュード値3例の場合を考えてみます.
地震の大きさ(規模)をE(ジュール)とすると,次の関係式(※)が定義されています.
■ 先述したように,マグニチュードが2大きくなると地震規模は1000倍になる!
⇒ 計算問題としてはともかく,広く庶民一般に受け入れられるような計算定義ではないことは確かですね.
■ 上記関係式(※)ですが,ストレートには理解が進まない「形」です.最終目的は地震の規模(エネルギー)の測定Eですが,そのため,重要な数値Mを一旦求めて,関係式(※)を経由してEにたどり着くワケです.
<補足>
■ 混乱の極みは,最終のEではなく,途中で代入に使用したマグニチュードMの値を,地震の規模全体を表しているかのような扱いがされていることです.いつかカイゼンしてもらいましょう.
■ 次回テーマは「風車の速さ」(予定)です.風車は実にのどかにゆっくりと回っていますが,さて実際はどうなのでしょう.
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