「僕(小6)が見つけた”中おち算”」・・・最小公倍数&最大公約数のゲット

算数・数学自由研究一般についてですが,昨今,統計的な調査や観察に関する応募作品が多くなり,率直に言ってやや食傷気味です.

■ そのような中,A(小6)さんの自由研究作品と出会いました(「算数・数学の自由研究コンクール」理数教育研究所主催).

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■ 残念ながら作品は東北地区審査まで届きませんでしたが,さきほど述べたような風潮の中にあって教科書の解説に正面から向き合った作品で印象深くご紹介する次第です(本人・保護者,学校の了承済)

■ 以下,最大公約数:GCM, 最小公倍数:LCM とします.

Aさんは(GCM, LCMの計算についての)教科書の説明をみて

「もっと簡単に見つけられる方法はないのかなぁ」と何度も思い,自分で簡単にできる方法を考えることにしました.

そして,教科書をよく見るとLCMを求める問題には3通りのパターンがあることに気づきました.

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(中略)

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■ 数学は,観察 ⇒ 規則性の発見 ⇒ 証明 という流れの中で発展していくことが一般的or原則です(blog「マスタノ!」より).

この視点からすると,Aさんの自由研究は「観察 ⇒ 規則性の発見」までとなっていますが

①規則性発見までの姿勢がエクセレントです.教科書の記述等に疑問やカイゼン策をもつことは学ぶ際の大切な姿勢です.計算過程に注目して次第に思考がまとめられていく様子がよくわかります.広く言えば整数論に繋がるテーマです.

②「中おち算」という巧みなネーミングに表れているように,多くの例を観察・分析してシンプルな計算形式を作り「他の皆さん」にもそのワザを伝えようとする気持ちが感じられます.

■ 参考までに補足をします.

「中おち算」ですが,Aさんとほぼ同じ内容が高校数学で紹介されています.高校数A(啓林館)↓

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このように先行例があったとき(よくあります),どう考えるべきでしょうか.

⇒ ①で述べたように,それまでのプロセス・研究姿勢の価値は消えません.

一般論になりますが,何かの先行研究が50年前に発表されていたと仮定します.その先行研究者は当時,研究の「最先端」にいたワケです.今,その人と同じレベルに到達したことだけでもすごい!ことと考えましょう.

⇒ 逆に,教科書等ですでに解説されていて,よく知られていることは研究テーマとして外してしまうケースがあります.

そのような中,昨年(’23春),アメリカの女子高校生2人が,あの有名なピタゴラスの定理の「新証明」を果たしたニュースが世界を駆け巡りました.「今さら何でピタゴラス?」と思っていたヒトは深く反省しなければなりません(私も入ります).

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■  「観察 ⇒ 規則性の発見証明」の証明部分が残っています.高校生レベルの課題になります ← 本テーマの場合,証明というよりも「なぜこの方法で答えが求まるのか」という問に対する解説ですね.

① その証明の際は,整数の素因数分解とその一意性(例:150=2×3×5×5 と分解できるが,これ以外にはない)を前提としています ← これが示されないと「中おち算」は成立しません

② また例えば「{2024と1771}のGCM, LCMを求めなさい」という問にどう答えますか?

「中おち算」ではケッコウ大変ですね ← 強力な公式(ユークリッドの互除法)があります

③「数学の女王」と称される整数論には,今なお未解決の問題があります(ゴールドバッハの予想,コラッツの問題etc).素数に絡む問題が多いようです.なお,未解決問題に「ハマり」過ぎて人生を棒に振るケースは世界中であるようですので注意しましょう.

<補足>

■ 次回テーマは「全国学テの意外出題例」(予定)です.全国学テの役割の一つに「世を先導する」があります.確認しましょう.

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