児童生徒をヒマにさせない
とある会合で隣合わせになった小学校校長先生との会話です.
「授業中すぐ分かってしまってヒマにしている子どもっていますか?」
「います!」← 即答でした
「その子どもさんは何していますか?」
「タブレットを見ている子が多いです」
「やっぱりそうですか・・・」
「機会均等」から受けるイメージ
■ 教育における機会均等は,憲法&教育基本法で謳われている崇高な理念であることは言うまでもありません.

しかし,
機会均等 ≓ 配慮の必要な子どものケア
という解釈が浸透しているように感じます.関連して教育環境整備に力を注ぐ自治体(特に選挙前)も目立ちます.
■ 改めて教育基本法で該当条文を確認しましょう.
第3条 (教育の機会均等)すべて国民は,ひとしく,その能力に応ずる教育を受ける機会を与えられなければならない.人種、信条,性別,社会的身分,経済的地位又は門地によって,教育上差別されない
「能力に応ずる教育・・・」に注目しましょう.法は,ヒトの能力が一律等しいとは述べていません.能力にはさまざまな面があり,それらの「違い」を前提にして教育を受ける機会をそれぞれに保証しなければならない(⇒ 大人社会の責任)としております.
■ 冒頭の校長さんの話に戻ります
授業中,Aさんは,即わかってしまい,(ヒマなので)タブレットを見ています.

⇒ Aさんについては,教育の機会均等の精神(能力に応じた教育)に基づく機会が与えられていないのではないか?
⇒ しばしば見かける光景が,グループ学習を取り入れて,Aさんのような子どもをグループ内の「小先生」に仕立て上げて「お茶を濁す」パターン
■ これはよく見かける予定調和学習の典型です.誤解を恐れずに言えば,「協働的な学び合い」のカタチをとることで「能力に応じている」と飛躍解釈しています.
Aさんにとって真に算数数学の学びになっているかどうかの視点での分析が必要です.
授業展開例
■ 次に授業展開例を紹介します.
例1 三角形
小2・・・「3本の直線でかこまれている形」として三角形が教科書初登場
小3・・・コンパスを使っての二等辺三角形の作図

■ コンパスを使う作業学習になり,これ自体でもケッコウ時間のかかる学びになります(コンパスの針が「危険パーツ」ですので配慮事項になります).
中には即「分かってしまう」子どもも当然います.そこで,次のような問いかけはいかがでしょう.

Q1 できちゃったヒトもいるようですね.じゃチャレンジ問題ね.
「図Ⅰのような辺の長さが,{12cm, 5cm, 6cm}の三角形をかいてください」
⇒ 「先生! 三角形がかけません.コンパス使ったけど線がくっつかないよ」
⇒ 「そうですね.辺の長さによっては三角形ができないこともあるんです.とても大事なことです.どんなときにかけなくなるのか,考えてみようか」(以下,略)
■ もう少し「突っ込み」をシャープにしたいと思います.小学生でも理解できる子どももいるでしょうが,あくまで数学リーダーの「引き出し」の一つにしておきましょう.リーダーの引き出しの種類と奥行きは子どもであっても十分感じ取れるものです(見抜かれています).

図Ⅱで,点BからCへの最短コースは,直線BC上を進むことです(最短距離BC=aとする).
したがって,BC上にない適当な点Aを通るルートは,そのルートが直線・曲線に限らずすべて a より大きくなります.つまり,遠回りコースとなるワケです.
⇒ 図Ⅰで,三角形ABCにおいて,必ず BA+AC> BC(=a) となります(「最短コースの原理」と言いましょう.等号は付かない!).
A1 3辺の長さが{12cm, 5cm, 6cm}となる三角形はかけない.
なぜなら,もしかけるとすれば,最短コースの原理から 5+6>12 となるが,11>12 は成り立たない.
よって,この三角形はかくことができない(存在しない).
⇒ 一般化して幾何学における基本定理の一つ「三角形の2辺の和は,他の1辺より大きい」が成り立つ
⇒ ベクトルにおける次の重要定理につながる

例2 重心
重心については,作図法や計算公式を学び,問題レッスンがなされます.やはりヒマにしている高校生も当然います.
Q2 物体の重心は一つに限るのはなぜでしょう?

A2 ある物体の重心が2つあったとし,それらをG₁,G₂ とする.
物体の重さをWとすると,重心G₁,G₂において下向きの力がそれぞれWはたらいている.
(下図)G₁,G₂ の中点をMとすると,Mにおいて下向きの力がはたらいているが,その合力は2Wとなる.
これは物体の重さがWであることに反する.したがって,重心は一つしか存在しない.
※オリジナル解答です(のつもり)
例3 素数が無限に存在するワケ
もっとも有名なのがユークリッドによる証明です.

Q3 上記ユークリッドの証明についてある中学2年生(当時)Oさんが

Oさんにどう答えますか(反論しますか)?
A3 下記<補足>参照
<補足>
■ 今回のテーマですが,内容的には背理法の活用です.背理法は高1で習いますが,その萌芽は小学校算数で見られます.
■ Q2,Q3は本blogの再掲です(Q2:’22/5/15 重心はなぜ一つか,Q3:’23/10/5 背理法あれこれ②)
■ 次回テーマは「変化する量が2つ」(予定)です.ある関数において変数が2つ以上の場合,最小値等を求めることは難易度が急に上がります(参考:Polya「いかにして問題を解くか」).
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