このaは定数,変数どっちなんだ!
■ 1次関数 y=ax についてです.yはxの関数ですから,当然x,yは変数になります.では,aは何でしょうか.
⇒ 変数xの係数がaということですので,aは定数(扱い)となります.が,コトはそんなに単純ではないのです.
文字だらけの式
Q1 1次関数 g : y=ax-a2 ・・・① について,どんなaについても直線gが通らない領域を求めなさい.
■ この種の問と初対面すると,少なからずのヒトはキョトン「?」とします.文字だらけで何言っているのかわからない,つまり,題意が理解できないのです.
■ ①は,1次関数で,傾き:a, y切片: -a2 の直線を表しています.いずれ文字・文字・文字ですね.
“抽象”過ぎる ⇒ “具体”でイメージ
■ a として適当に数を入れてみます.a=1, 1.5, 2(画像は,フリーのグラフソフトgrapesを利用)
■ 続けて,a=-2, -1.5, -1, 0 とします.
■ 全体の雰囲気が把握できますね.
■ 直線の集まり(直線群)が見えます.
ただ,直線gは,かなりの範囲をカバーしていますが,gが”避けている”範囲がありそうです.
通過できない点の確認
■ 具体に確認してみましょう.たとえば,gは点(1,2)は通らない・通れないようです.
なぜなら,関数式: y=ax-a2 でx=1,y=2 としますと,
2=a-a2 すなわち,a2-a+2=0
これは,aについての2次方程式で虚数解をもちます.
グラフとはa,x,yすべてが実数を前提としていますので,この直線は存在できない,よって,gは点(1,2)を通ることはない,となります.
■ これまでの説明を動画で確認しましょう.
A (解答例)
※ 上図で,直線gが通過しない部分は,空白個所,すなわち放物線 y=1/4x2 の上方になります.
<マトメ>
■ 例:y=ax-a2 について
① a は変数x,yに対しては定数として振る舞う.ここまでは,x,yの1次式.
y=ax-a2 ・・・x,yの1次式
しかし,同値変形することで,aに関する2次方程式の問題へとステージが移動する.
a2-xa+y=0 ・・・ aの2次式(方程式)
この視点&ステージの変化を数学的思考として”歓迎”するか,”毛嫌い”するか.
後々,この違いは数学を学ぶ上で大きく響きます.
② aを定数扱いして得られた式において,aは任意の実数であることから,aを変数と見立てて計算を進めることができる.⇒ もちろん,xとaを同時に変数扱いすることは出来ない.
他の例:微分係数:f'(a)は x=a における接線の傾きとして極限値計算により定義される.この後,aは任意の数であることから,改めてxと書き換えたものが,導関数f'(x) である.
<補足>
■ 次回テーマは,「三角形面積公式にナットクいかない○さん」(予定)です.鈍角三角形の面積公式にどこか引っ掛かる○さんの「研究発表」です.
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キョトン「?」
g: y=ax2-a2 ??
g: y=ax-a2 ですか?
楢じい 様
ご指摘ありがとうございます.先ほど訂正いたしました.
感謝の「2乗」です.