ノーベル賞⇒”北日本”低っ!
ノーベル賞は人類の英知の象徴と言うべきもの.その受賞者について,国別ならまだしも,国内各地域ごとの”ローカルモノサシ”を当ててあれこれ述べるのは,的外れであることは重々承知しつつも,気になることを話題にします.
これまでの受賞者一覧
■ 地球規模で見れば,狭い日本列島,どこでも同じだろう,という向きもあるかも知れませんが,一応,受賞者を出身高校所在地別にプロットしてみると,次のようになります.
ほぼ空白の「北日本」出身者
■ ’21までの自然科学系受賞者25名のうち,北日本の受賞者は,鈴木章氏(’10化学賞・北海道大)一人のみです.
来年度以降の様子はもちろん不明ですが,これまでの輩出地域の偏り具合は「偶然だろう」では済まされない何かを感じます.
※ 利根川進氏は都立日比谷高校卒ですが,幼少期,富山県と愛媛県に居住しています.このように複数の地域にまたがるケースもあります(少数ですが).
⇒ 受賞者を人口比で考えたとき,愛媛県・富山県の両県は「注目される」地域です.
私立高校出身が少ない
■ 今日,私立中高一貫校の活躍は,学業・スポーツの両面で,全国的に目を見張るものがあります.首都圏に住むヒトにとって「いかにして我が子を有名中学高校に入れるか」は大きな関心事のようです.
しかし,ノーベル賞受賞者に限って言えば,私立高出身者は「二人」にとどまり,地方の公立高校出身者が多いのです.
■ 受賞者の実績は「昭和時代」のモノ.当時は,まだ公立優位だったのだ.という声もありそう.
しかし,都立高校の学校群制度や大学共通一次(共通テストの前身)の導入から約半世紀.ともなって,私立中高一貫校の評価が年々上昇し,今日に至っています.
’21の化学賞受賞者二人(米と独)は共に50歳代前半です.つまり,日本で言えば,私立全盛期の世代と十分重なっている年代層なのです.
私立中高には極めて優秀な生徒(学業・スポーツ)が広域から集まってきておりますので,卒業生のノーベル賞受賞に期待いたします.
オラが町(村)の誇り
■ ノーベル賞受賞者の輩出は,科学技術水準の指標にとどまらず,経済や文化など含めたその国・地域の「総合力」の一角をなしております.
■ ノーベル賞受賞を富山のように扱っている例は少ないかも知れません.
地域によって,学術分野に対する「温度差」を感じます.「身体を押し上げる」と「足を引っ張る」ような違いと言えばオーバーでしょうか.
■ 今回受賞された真鍋淑郎氏が「知的好奇心」の重要性を強調しておりました.アクティブラーニングやICT教育も,その根底に「知的好奇心」をドンと据えたいものです.そうしなければ「表層的アクティブ~」になりかねません.
■ 特に,国のスタンスが大きいですね.「米百俵の精神」「カネは出すが,口を出さず」が原理原則です.
数学オリンピックメダリスト進路先
■ 数学や物理,化学などの理数オリンピックでメダリストとなった折紙付きの「才を持った高校生」たち.「その後」が気になっています.具体のdataは入手できませんでしたが,漏れ伝わるところによると,少なからずのメダリストが医学部医学科へ進んでいるとのこと.
■ 誤解を恐れず言います.俊英たちの才を「医学部入試」のためのツールにしている状況はありませんか.
背景の一つには,今日,博士号を取得しても期限付きの非正規雇用が多く,研究自体,いやそれ以前に就職に苦労している現状があります.
■ 個々の進路選択についてではなく,あくまで国レベルにおける全体の方向性の話です.
■ コロナ禍で分かったことの一つ.それは国により医師の「社会的地位」がさまざまだということです(日本は高い).
⇒ 理数の「才」は,個々の希望と適性を踏まえて,広く・バランスよく,科学技術全般に活かすべきです.一分野に偏ることはよろしくありません.
■ 平成以降,日本のイノベーションに関する各種指標が芳しくない原因の一つに,昨今の「医学部医学科偏重」もあると考えていますが,いかがでしょう.
<補足>
■ ノーベル賞受賞者に女性がいないことは重い事実です.重すぎて話題にもできませんでした.
■ 次回テーマは,「行き6km/h, 帰り4km/h ⇒ 平均は?」(予定)です.けっこう間違いますよね.正解しても,どうも理由がはっきりしないとか.
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