asinθ+bcosθ:合成 ⇒ 唐突感のカイゼン

y=3sinθ+2cosθ という関数は,y=√13sin(θ+α) と変形(合成)できます.この合成公式,唐突に√13 や 意味が分からないα が登場しますので,評判よろしくない公式の代表格です.

突然,√a²+b² でくくる ⇒ これが不評

■ 唐突感ある授業の場合,その多くは,一方通行で,天下り式の展開となります.

■ √13や α が登場する舞台裏,また,そもそも合成自体の必然性の理解も得たいですね.

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すばらしい質問

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「y=sinθ と y=cosθ は性格が反対.第1象限では,前者は単調増加,後者は単調減少.すると,y=sinθ+cosθ という関数は,互いに打ち消し合って,フラット,つまり,x軸に平行な直線になる,あるいはそれに近い曲線になるのではないか?」

何ともユニーク,かつ,一考に値する見方です.このような発言(つぶやき含む)や疑問は”大歓迎”ですね.内心「よくぞ言ってくれた」という思いを抱きます.

■  例:y₁=x, y₂=ーx+2 なら,y₁+y₂=2 となり,確かに一定値2 となりますね.こんなイメージでしょうか.

予想して式化を試みる

■ そこで,y=f(x)=sinx+cosx で,xが適当な角のときのyの値をマークしてみましょう.グラフ作成には,本blogでしばしば登場する画像フリーソフトgrapesを使用しました.

下図で,点Pのy座標+点Qのy座標=点Sのy座標 です.

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■ 上図で,の軌跡を眺めると,フラットな直線にはならず,なめらかな曲線,しかも,周期性もありそうですね.次の図を見てください.

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■ 上図で,曲線(赤点線)の式を求めてみましょう.

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仮定がpointですね.

もし,f(x)=5sinx+2cosx のときはどうなりますか.

②,③ ⇒ 5=kcosx ・・・②’  2=ksinx ・・・ ③’  となり,それぞれ平方

⇒  25=k²cos²x , 4=k²sin²x

⇒ 辺々加えて,25+4=k²(cos²x+sin²x)=k² ∴ k=√29 となります.

したがって,f(x)=asinx+bcosx  のときは,k=√a²+b²  が登場するワケです.

唐突感とどう付き合う

■ 数学は「体系的な学問」ですので,学びの途上で,”天下り”の解説を避けることはできず,そのつど”唐突感”が発生するものと覚悟しなければなりません.

■ 算数数学のリーダーは,”天下り”箇所に入ると,①子どもの多くは,「キョトン」とするだろうという覚悟を持つ ②何らかの緩和策を講ずる(背景・舞台裏説明に努めるなど) の2点を踏まえた対応を心準備しておきたいもの.

一番困るケースは,”天下り”の解説をしているという自覚を欠いている場合ですね.⇒ 自覚の指導は罪深い

<補足> 

■ 次回は,「共通テスト 数ⅠA”山の仰角”あれこれ」(予定)です.過日,第2回大学共通テストが実施されましたが,全体的に難易度が上がったというほか,話題になった数学の問があります.数学の問題がマスコミに取りあげられるのはほとんどありません.

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asinθ+bcosθ:合成 ⇒ 唐突感のカイゼン” に対して4件のコメントがあります。

  1. ぷりくら、TMえぼりゅーしょん より:

     このブログの仕様では、多くのブログと同じく、ギリシャ文字がまともなフォントで出ません。「意味が分からないα」は「意味が分からないα(アルファ)」とでも書きましょう。読者の皆さんは、まともなフォントが出るもの(ワードやメモ帳等)にコピペしてみましょう。尚、ワードへの貼付けでは、「テキストのみ保持」で貼付けて下さい。

     さて、本題。根号(√)は唐突といえば唐突で、違うといえば唐突ではないでしょう。
     asinθ+bcosθ は、三角関数の加法定理との関係で出てくると思います。つまり「角」が関係します。asinθ+bcosθ は、二つのベクトル (a, b) と (sinθ, bcosθ) の内積です。√a²+b² はベクトル (a, b) の大きさです。内積はベクトルの大きさと、なす角の余弦をかけたものです。ここで、「角」と関係があることがわかります。
     ベクトル (a, b) を大きさ √a²+b² で割ったものは、その方向の単位ベクトルになります。ここで、ベクトルは大きさと方向を持ったものであることを思い出しましょう。単位ベクトルにすることは、方向だけに注目することです。方向を表すのは、x軸とのなす角(偏角)を用いるのが普通です。
     ベクトル (sinθ, cosθ) の偏角は、90°ー θ です。(a, b) の偏角を、α(アルファ)とします。(a, b) を大きさ √a²+b² で割ったベクトル (a’, b’) の偏角も α(アルファ) です。
     二つのベクトル (sinθ, cosθ) と (a’, b’) のなす角ψ(プシー)は、いくつか? 図を描いてみましょう。そして、内積 a’sinθ+b’cosθ はどうなるか? 考えてみましょう。
     重要なのは、「単位ベクトルとは、大きさを無視して、方向という因子だけが残ったベクトルである」という見方です。
     ベクトルを使うと、唐突感が少しは減るかもしれません。

    1. kishiroot より:

      ぷりくら 様

      コメントありがとうございます。
      ・ギリシャ文字等のフォントについてですが、正直、そこまで思いが至らずにやって参りました。確かに、数学の専門書でもaとαの区別が付きにくく、虫眼鏡で確認したことを思い出しました。以後、注意しながら進めていきます。
      ・単位ベクトルを念頭⇒ ①あらかじめ√a²+b²でくくって置く ② 「asinθ+bcosθ は、二つのベクトル (a, b) と (sinθ, cosθ) の内積」 
      これらを根本にした解説には脱帽です。形を変えれば入試に出題できそうな気がしました。
      ・なお、今回のテーマ設定の一つに、悪名高い三角関数諸公式(特に和積)がありました。
      通常、和積は4パターン示されますが、sinθ±cosθ のタイプは入っていません。ここから asinθ+bcosθ はどうなるだろうか?という発問でスタートしたものでした(授業展開例)。その後、PC画像を用いた、予想→検証・証明と進めたわけです。

      ありがとうございました。

      1. ぷりくら、TMえぼりゅーしょん より:

         転生したらギリシャ文字だった件。
        v と ν を見分けよう。T と τ はどうだろう。
        コピペしてみよう。

        「asinθ+bcosθ は、二つのベクトル (a, b) と (sinθ, cosθ) の内積」は、入試問題にはならないでしょう。高等学校なら、誘導問題にして宿題で出す方が良いと思います。少人数塾なら、先生が生徒の反応を見る事ができるので、誘導問題として説明するのもアリでしょう。

         導入時に唐突感を軽減できれば一番良いでしょうが、できないのであれば、別単元で「あれは実(じつ)はこうでした」とやるのが、次善の策かと思います。この方法は、別単元との「つながり」が見えるので、そういう点で有効かと思います。「つながり」が見えると、唐突感は減るでしょう。

         ところで、日曜朝の犬猫アニメ「わんだふる ぷりきゅあ!」はご覧になりましたか? 是非、ご覧下さい。

        1. kishiroot より:

          ぷりくら 様
          当ブログに目をかけていただきありがとうございます。
          ・数学とギリシャ文字の「深い関係」の中、視力低下とともに神経を遣う・遣わねばならない場面が増えました。そんな折り、適切なアドバイスをいただき感謝します。
          (※)はじめ「転生」の背景が分からずオタオタしました。視野が多少広がった感じがします。
          ・asinθ+bcosθ の入試問題云々についてです。当初思いついたのは、マーク式穴埋め形式の出題です。与えられた式の背景について、既習事項にググッと迫る見方が出来るぷりくらさんのような生徒(含む教師)は極めて少ない(多分)と思います。マーク式であっても解くには思考を必要とするのではないでしょうか(例:「・・・ベクトル (sinθ, cosθ) の偏角は、□であるので、・・・」)? 昨今の共通テストを見ると、思考より短時間計算力を必要とする例が多いと感じています。
          ・アニメは「未だ」です。何せ「昭和人類」なので。

          まずはお礼まで

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