背理法あれこれ ①浅読み(√2…無理数)

背理法はいかにも数学らしい証明法です(どこか釈然としないながらも渋々ナットクしている向きもアリ).ただし背理法の核心部分を浅読みor誤解しているケースも散見できます.

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背理法がシックリこない主因

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■ 犯人捜しの場合,「容疑者がA, Bの2人いる.Aが犯人でないと証明された.よって,自動的にBが犯人である」とは断定できませんね.cや毒蜘蛛が真犯人かもしれませんから.

■ ところが,論理(数学)の世界では「xは,Aであるか非Aであるかのいずれか一つ.中間やその他はない」のです.

これは論理の根本原理で,排中律(ハイチュウリツ)といいます.

■ 排中律を「心底」認めることが背理法ナットクに直結します.

排中律があいまいなヒトに背理法ナットクは無理

例  実数は{ 有理数 or 無理数 } のいずれかであって,これ以外にはありません.

√2:無理数 の背理法による証明

■ 「√2 が無理数である」の背理法による証明の場合,その前提が大事です.

⇒ √2が無理数でないと仮定すれば,排中律によりそれは自動的に有理数となります

つまり,√2が有理数(←正しい翻訳は有数) と仮定すれば,√2は分数の形で表せます.以下,証明の本文↓

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スッキリ感のない理由

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■ ある疑問の紹介

下線部「仮定①(p,qは互いに素)に反する」について.互いに素 は解答者が付けた条件だ.それに反すると言われてもな~…矛盾は勝手に作れるの?

さて数強の皆さんならこの疑問にどう説明しますか?「感じること自体がおかしい!」などと突き放さないでください.

√2 が有理数とする,

つまり,√2=q/p とする これが仮定の本家大元です(p,q:自然数).

互いに素(既約分数)はひとまず保留にしましょう

このママ論を進めると

上記のように p,q ともに偶数が示されますので,P=2P’, q=2q’ と置けます.

代入の結果, p’,q’ が再び偶数となります( 新分母p’はpより小.新分子q’もqより小 ).

以下,同じような論が成り立ち, √2=分子/分母=偶数/偶数 の形の有理数が限りなく続く.かつ,分母・分子ともに小さくなっていく…

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そのような分数q/pは存在しませんので,背理法が成立します.

ただ,操作が”限りなく続く”ではどうもシマリがよろしくありません.

■ そこで,√2=q/p (既約分数)

と仮定すると,2つの式誘導で矛盾が見つかるメデタシメデタシという結論です.

<補足>

■ 以上のような経緯が分かると「既約分数」と設定する意味とスマートさが理解できますね.ただし,数学を学ぶ上で,最初からスマートさをねらうのではなく,多少,遠回りでドロ臭い手法であってもそれを「知る」「体感する」ことはムダにはならないと考えます.

■ 次回のテーマは今回の続編で「背理法あれこれ②  誤読(素数の無限性)」(予定)です.

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