“グラフ交点”の求め方:無神経では?
グラフの交点を求めよ⇒それっ!連立方程式を解けばよい! とやや条件反射的に計算作業に取りかかる向きがあります.引っ掛かるところを紹介いたします.
本テーマのきっかけ
■ 数年前,学生が主体となって実施した中2生対象の復習で,次のような場面に遭遇しました.
■ 学生「直線 x=2 をグラフに描いてください」
S「・・・」.ほとんどの生徒のペンは止まったママ.
やや憂鬱な沈黙が続き,空気が冷えてきました.
ようやく,ある生徒が「x=2 って,答えじゃないのですか?」と声を絞りあげました.
■ 生徒の疑問(いや”訴え”)は,極めてまっとう,かつ,コトの深刻さを物語っています.
⇒ 教師役の学生は,「直線x=a」を語っているのに,生徒は「方程式の解x=a」 を念頭に置いているので,噛み合わないワケです.
Q 2直線 g: x-2y+2=0 ① と h: x+y-4=0 ② の交点を求めなさい.
A x-2y+2=0 ① と x+y-4=0 ② を連立させて解を求めると,x=y=2 となります.
よって,直線gとhとの交点は,(2,2) です.
■ さきほどの中学生の立場で考えてみます.
①と②を連立させて.②ー①とします.
ここで,疑問が出ます.
直線 x+y-4=0 上の点P(x,y) ⇒ 代表点
■ 直線②: x+y-4=0 は,図のように,無数の点から構成されています.点P(x,y)は代表点であり,xとyは定数ではなく,変数です.直線②でも同じことが言えます.
■ すると,②ー①の計算で・・・
■ さて,どう考えましょうか.
「そんな難しいことは言わずに,とにかく,連立方程式を解くことが先決.そのうち,分かるときも来るから・・・」と開き直る向きもありますが,もう少し「カイゼン」しましょう.
厳密な解答にすると・・・
■ 図で,交点をP(X,Y) とします.すると,点Pは,2直線①かつ②上の点です.
⇒ X+Y-4=0 ②’ , X-2Y+2=0 ①’ が成り立ち,この後は,通常の連立方程式として解を求めると,X=Y=2 ,よって,交点はP(2, 2) です.
■ 「こんなメンドーなことをしていると,子どもが付いてこなくなる.理屈よりとにかく答えを出させないとダメなんだ」との声も.
カイゼン案
■ 次のようなカイゼン案はいかがでしょう.
①最初は,交点をP(X,Y)とおき,定点であることを確認して,X=Y=2 を求める.
②全体を振り返ると,(x,y) のママでも同じ解となることを確認
③次からは,②の方法で進めることを確認
⇒ pointは,交点を求めること自体もさることながら,「変数xは,状況により定数と見なす・見なせる」を体感する格好の例だという認識です.
⇒ このように,タイミングよろしく背景解説する姿勢は「信頼」に繋がります.
⇒ 冒頭紹介した中2生にしても,学習の進んでいる生徒でも,「答えが合えば,”いいね”」ではなく,一つ一つを論理で確認していく学力は,今後一層重視されますよ.
<補足>
■ 変数x:「あるときは変数,またあるときは定数」← 今回テーマの結論
■ 次回テーマは,「すぐれた記号」(予定)です.数学記号は,全世界共通で(多少の違いを除き),唯一の共通言語でしょう.その土台を記号が支えます.
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しっかり理解できないことの方が多いのですが、いつも楽しく拝見しています。
今朝 YouTube を見ていたら、刺激的な投稿があったので、どうにもお考えをうかがいたく、今回の教材とは関係ないのですが、コメントとして書き込みました。
何はともあれ https://www.youtube.com/watch?v=jsYwFizhncE をご覧ください。
ちょっと興奮してしまいました。
問い合わせとかじゃなくて、もっと気楽にコメントが書き込める仕組みがあれば嬉しいです。
楢じい 様
コロナ禍,お見舞い申し上げます.
コメント,ありがとうございました.
・ご紹介いただいたYou Tubeを拝見しました.実に刺激的な内容で,ショックを受けました.解説のハードルも極めて高く,唸るばかりです(京大あたりのAO入試で,一部流用される可能性もありえますよね).
・それ以上に,この「発見」のきっかけが知りたいですね.どうやって「発見」に至ったのでしょうか.①誰かが(思考)実験から結果数値を求め,円周率と関わりがあるとの仮説を立てていた.②衝突の式を分析し,思考実験値と比較した ③その他
・ご指摘の「コメント欄」については,実際のところ,当初の目論見と異なっており,何とかカイゼンを図りたいと思っています.ただ,私自身「情報難民」に近く,blogの中身はさておき,全体のレイアウト設計までの技量はなく,このblogの立ち上げも,外部のwebデザイナーの力を借りているという実態があります.算数・数学のテーマですから,内容も”地味 かつ 重い” ので,”軽いタッチ”の色彩も取り入れる方向で努めます.
ありがとうございました.
ご意見をお聞かせいただきありがとうございました。
さらに調べてみたら、この動画は「スタンフォード大数学科卒の Grant Sanderson 氏によって作成・公開されている、数学の基礎的な概念を分かりやすい解説する動画シリーズ」だそうです。この発見のきっかけもシリーズ解説の中にありそうですが、解説は英語で、秋田言葉以外理解できない私には突き止めることができませんでした。
”http://englishforhackers.com/learn-basic-math-on-3blue1brown-youtube-channel.html’ に日本語で探っていけそうな入り口がありました。タイトルは「教科書より分かりやすい!数学を動画で学ぶ英語YouTubeチャネル 3Blue1Brown がオススメ」です。
楢じい 様
・より詳しい情報をありがとうございました.動画を再度見ましたが(見たと言うより眺めた・・・),だ円を円に変形する箇所があり,そこから円周率が現れるという感じでしたね.円周率が先にあって,円への変形を思い付いたのか,円への変形をしているうちに,円周率が見え,改めて実験結果と付き合わせたのか?その辺りを再²度見たいと思っています.
・本県でも課題研究や探究活動に関心ある10代の若者にも紹介したいシリーズですね.英語も同時に学べるかも(二刀流?).
ありがとうございました.