3進法と天びん

2進法はコンピューターと”一心同体”の記数法であり,10進法は日常生活に不可欠な記数法です.その点,3進法は存在感が薄いのですが,天びんと絡ませると教材としておもしろい結果が出てきます.

09 202307183進法1

3進法の例

■ ある自然数xが3進法で20212(3) と表されているとします.

※ここで,20212を二万二百十二 とは読まず,に/ゼロ/に/いち/に が普通の読み方

■ 20212(3)を10進法で示すと

x=2・3⁴+0・3³+2・3²+1・3¹+2 

 =185(10) であり

3進法5桁の数 x=a₄a₃a₂a₁a₀ (3)

x=a₄・3⁴+a₃・3³+a₂・3²+a₁・3+a₀・1 (10)

です(各ai=0,1,2).5桁以外の数(→任意の自然数すべて)も同様のルールで構成されます.

⇒ 3進法では各桁で用いる数は{0,1,2}のいずれか.例えば234(3)という3進法表記はありえません.

Q1 197を3進法で表しなさい.

A1 図のように各商を3で割算し続けて求めた余りを⑤→①の順に書き表せばよいのです.

197(10)=21022(3)

09 202307203進法2

※ 上図で①②が求まるワケ

   197= …+27a₃+9a₂+3a₁+a₀

     =3(…+9a₃+3a₂+a₁)+a₀ ⑥

∴ a₀は197を3で割ったときの余りであるから,a₀=2 ①

次にa₁に狙いを定めよう.

⑥でカッコ内は65になるので

    65=…+9a₃+3a₂+a₁

         =3(…+3a₃+a₂)+a₁

∴ a₁は65を3で割ったときの余りであるから,a₁=2 ②

以下,③④⑤も同様の計算で定まる.pointは後ろの係数a₀から求めることですね.

⇒ これらの一連の計算を簡素化したのが図の筆算になります

3進法に制限をかけましょう

09 202307233進法4

■ 図のように,1g, 3g, 9g, 27g…のおもりが1個ずつあります.

Q2 これらのおもりを使って表すことのできる重さを小さい順に7つ書きなさい.ただし,使わないおもりがあってもよいとします.

A2 x=a₀+3a₁+9a₂+27a₃+… を満たすxを求めればよい.ただし,各係数ai (i=0,1,2,3…)= 0 or 1  である.小さい順に7つ書き連ねると

x=1, 3, 4, 9,10,12,13 

※ 各”おもり”が2個ずつ用意されていれば,通常の3進法に相当するのですべての重さを表記できます.

おもりと天びん

■ 重さが不明の物体Pがあります.天びんとおもりを用いた測定ルール(以下,天びん3進法という)は次のようです.

① 1g, 3g, 9g, 27g…のおもりを各1個ずつ用意する.

② 天びんの左右の皿におもりとPを適当に選んで載せ,天びんを釣り合わせてPの重さを測る

この方法でどんなPの重さ(1g単位)も測れることを示しましょう.

例えば,25gの重さは次の図のようにセットすればよいのです.

09 202307243進法5

Q3 天びん3進法で46gを測りなさい.

09 202307243進法7

A3 図のように p=46(10)=1201(3) です.

以下,3進法で表すと

p=1201

  =1000+200+1 ①

①で各おもりはせいぜい1個のみですから,200 を何とかしなければいけません.

ここで,200=1000-100ですので (← 18=27-9)

①=1000+(1000-100)+1

   =2000-100+1

ここで,2000=10000-1000 より

p=10000-1000-100+1

∴ p+1000+100=10000+1

したがって,1+81=27+9+p 

ゆえに,天びんがバランスをとれたときのpの重さは46g であることが分かる.

09 202307243進法8

Q4 すべての自然数(物体Pの重さ)は天びん3進法を用いて表すことができる.そのワケを述べなさい.

A4 任意の数pを3進法で表したとき,

①各桁の数が{0 or 1}の場合(例:p=11001(3)),すべてのおもりを天びんの皿に載せれば,逆の皿でバランスが取れたときの重さがpとなる.

②各桁の数の中に2が入っていたとき(例:p=2021(3))

2000=10000-1000 ← 54=81-27 

20=100-10 ← 6=9-3

のように2を用いない同値変形をすることで,すべての桁から2を除外できる.そして-のついた数を移項(pを載せた皿へ移動)すれば天びんのバランスが取れpを測定できる.

例:p=61(10)=2021(3)

       =2000+20+1

       =10000-1000+(100-10)+1

 ∴ p+1000+10=10000+100+1

          p+27+3=81+9+1

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Q5 天びん3進法による重さpの測定の仕方は1通りに限定されます.なぜでしょう.

例:46は,{1,81}と{9,27,46}の分け方以外にはない(Q3参照) 

A5 理屈がやや長くなります.

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<補足>

■ 天びんバランスによる測定ですが,3進法だけ(2進法は”移項”が生じない)の特徴で,実際,5進法などでは成立しません.

■ 次回のテーマは「見当をつける力」です(予定).思考する場合は当然として,計算する・させる場合も見当をつける力&習慣が大切です.

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