カン違い常識(理数編)
おそらく〇%のヒトはカン違いしているであろう”常識”3例(理数編)です.「まさか!そんなふうに解釈しているヒトなんていないよ!」と断定せずにまずはお耳を拝借.
「生きている化石」シーラカンス
■ シーラカンスは古生代デボン紀(数億年前)に広く世界の水域で栄え,約6550万年前ころ絶滅したとされていました.
ところが,20世紀半ばころに現世種が発見され大騒ぎになり,以後「生きている化石」と称され今日に至っています.
■ この 生きている化石 から
⇒ シーラカンスは数億年前から生き続けている
と判断している,つまり,シーラカンスの寿命が数億年!と思っているヒトがある程度は いる と見ていますがどうでしょう.
dataもないし調べてもいませんが….算数・数学でいえば「怖くてテストできない」部類の問いになります.理科の先生,一度確認してみてください.
水は高きから低きへ流れる”性質”がある
■ 理科の教科書や参考書の記述に
水は高いところから低いところへ流れる性質がある
という表記を見たことがあります.
そのとき,この“性質“という表現に違和感を持ちました.
■ 辞書では,性質 とは「ものごとや人間が持つ固有の特徴や属性を指す」「ものごとが持っている特色」 などと書かれています.
一方,日常的に用いているニュアンスからすれば,性質・・・もって生まれた気質 というイメージもあります.すると
水は,高きから低きに流れる性質がある
⇒ 水が生命体のように,もって生まれた水自身の特性によって流れる
と理解しているヒトがいるし,実際,この解釈でも×ではないようです.
ただ,どこかしっくりきません.
「光は直進する性質がある」「犬はヒトに従順な性質を持っている」「水と油は性質が異なる」などはまずナットクできますが.
■ 比較的ナットクのいく解説例
⇒ 水を構成する小さい単位(例:体積1cm³の球): aに注目すると,川という斜面上に置かれたaにも重さがあるので,重力にしたがって斜め下方に動く(ベクトル合成図で横成分).無数の各球が同様の動きをすることで川の水全体は高きから低きへ動く(流れる)という現象を起こす
← 用語として,性質より 現象 の方がフィットしませんか?
<注>ただコトは簡単ではありません.上説に従うと,川の水は下流になるほど速さが加速していくことになります.
⇒ 利根川や信濃川の下流では激流に?(←平常時は穏やかな流れです)
本問に対する”適切・適正”な解説は簡単ではないようですが,「水の性質」では済まないと思います.
%(百分率)は大丈夫でしょうか?
■ %は生活の中にシッカリ・スッキリ定着しているものと考えています.が,ときおり次のような報道がなされると一抹の不安がよぎります.
Q 下記ニュース内容から,総理大臣の人柄が信頼できるので内閣を支持するとしたヒトは対象者全体の中で何名いますか?
ここで, 2113×0.179≓378(人) ①
とするヒト,結構いると見ています.
いうまでもなく,正解は
2113×0.484×0.345×0.179≓63(人) ②
①と②では,ずいぶんと開きがありますね.
アンケートの問が重層的になっているとき,その結果の解釈は油断ができません.これは,学校教育の責が大です.
<補足>
■ 水の話ですが,小学生にベクトルの解説を勧めているワケではありません.ただ,教科書の記述に疑問を持つような子どもの存在は,今の時代,極めて貴重と思います.子どもの”つぶやき疑問”にも注目しましょう.
■ 算数数学が何の役に立つのか?という問はいつの世でも聞かれる声です.
一つの答えが「欺されないため」です.「ヒトを欺すな」は教育の目的の一つとしてあるならば同時に「欺されない素地を養う」も成り立つべきと考えます.特に統計数値(%等含む)に留意したいものです.
■ 次回テーマは「アナログ時計衰退の危機」(予定)です.
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